9話 やっぱり二刀流ってかっこいいよね!
「ラピスさん! これは違うんですぅぅぅぅぅぅぅ! 千鶴の奴が勝手に……」
「あしたてい らあどううしつ とがなくな るいま」
ダメだ!
完全に頭がショートしてて、 ド〇クエの復活の呪文唱えてるぅぅぅぅぅぅ!
「ねぇ。 俊。 俊は、 その私とキスしてどう感じた?」
千鶴がやけに乙女チックにそう聞いてきたが、 今の俺はそんなことを冷静に考えてはいられなかった。
何せもしかしたらこいつのせいで俺のラピスさんルートの道が閉ざされてしまうかも知れないからだ。
「お前とのキスしてどうだったかだって! そんなの決まってる! 死にたくなったよ! ここに泥水があったならすぐに口を洗うほどになぁぁぁぁぁぁぁ!」
この時ノリで俺はこう千鶴に言ってしまったが、 すぐにしまったと後悔した。
だがすでに時遅し。
千鶴の奴は、 笑顔で右手にはホッチキスを左手にはカッターナイフを握っていた。
あなたいつの間に戦場〇原さんになったの?
それ絶対普通の使い方する気ないよね?
俺は、 阿良〇木君と違って吸血鬼の再生力はないんだからそんなもので痛めつけちゃダメなんだぞ?
「うふふふ。 そう。 そんなに嫌だったの。 そんな俊には、 お仕置きしないとね」
「いや、 今のは口が滑っただけで、 本当は恥ずかしかっただけなんだ。 ハッハハ!」
俺とてここは命が惜しい。
なのでここは、 千鶴のご機嫌取りをとることにした。
だがそんな考え千鶴には、 通用しなかった。
「それ嘘よね? だって俊嘘ついた時、 鼻が大きく膨らむもの……」
「え、 まじで?」
俺は、 千鶴にそう指摘され鼻を触ったが変化はなかった。
「おい! 全然変化してないじゃないか!」
「当たり前よ。 だって今の私の嘘だもの。 でも俊が今自分の鼻を確認したことで確実に俊が嘘をついてることが分かったわね……」
「し、 しまったぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
完全にはめられたぁぁぁぁぁ!
早くここから逃げなければ!
だが、 ラピスさんへの誤解も解きたいし、 俺はどうすればいいんだぁぁぁぁ!
「さあ、 今日はお仕置きフルコースにしてあげる……」
どうやら時間切れのようだ。
「あまり痛くしないでね?」
俺がそうできる限り可愛げに言ったのだが、 千鶴からするとそれが余計にむかついたようでいつもよりさらにきつくお仕置きされ、 三途の川を見る羽目になった。
またそこで死んだじいちゃんと遭遇した。
その時じいちゃんに今の俺の事情を話したのだが、 諦めてその女性と結婚しろと言われてしまった。
この人でなし!
「俊。 俊。 いい加減起きなさい」
「ここは?」
「何を寝ぼけてるの? 冒険者ギルドの中に決まってるじゃない」
「そうなのか。 それで今のこの状況は、 どういうつもりだ千鶴?」
そう。 今の俺は、 千鶴に膝枕されていたのだ。
「私。 前々から俊のことを膝枕してみたかったのよね。 はあ~今日は本当に最高の一日だわ! だって俊とキスもできたし、 膝枕までできるなんて! このままの勢いでいけば夜には……」
千鶴の奴は、 そう言いながら気味の悪い笑みを浮かべた。
それとな。
一つ言わせてもらう。
お前にとっては、 最高の一日でもな!
こっちにとっては、 最悪の一日なんだよ!
「それで俊。 この後どうするの?」
「あ? てめぇに言うわけねぇだろブス」
「俊? またお仕置きされたいの?」
「すいません! 今のは、 失言でした! それで本日の予定ですがとりあえず魔物を狩るつもりです。 それで狩りに行く前に、 武器と魔物と戦うときに着る服を購入するつもりです。 はい」
「それなら早く行きましょう!」
千鶴は、 そう言って俺の手を引っ張り、 俺たちは冒険者ギルドを後にした。
因みにラピスさんは、 俺が気絶した間に回復していたようで、 俺が冒険者ギルドを出る時に、 “行ってらっしゃいませ”と言ってくれた。
よ、 よかったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!
誤解されてなかったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!
「俊。 どうしたの急に嬉しそうな顔をして? 私と手をつなげたことがそんなに嬉しかったの?」
「お前の頭は、 一体どうなってんだよ……」
「そんなの決まってるじゃない! 俊の事でいっぱいよ!」
そう言いながら素敵な笑顔でこちらを見てきた。
確かにこいつは、 顔だけはいい。
だがかなり嫉妬深いし、 俺を殺した張本人だ。
だから俺は、 こいつと結婚する気はない!
絶対になんだからね!
~~~~~~~~~~~~~
俺たちは、 まず初めに武器屋に行くことにした。
武器屋は、 この町に一軒しかないらしく、 かなり古い建築物だった。
「いらっしゃい! 今日は、 どんな武器をお探しですかい旦那!」
そう声をかけたのは、 40代くらいと思われる男性だ。
彼を一言で表現するなら筋肉だろ。
何せ彼は、 上半身裸でいちいちこちらに向けてポージングしてきているからだ。
俺はこのおじさんのことを筋肉おじさんと呼ぶことにした。
因みに俺の使おうと考えている武器は当然剣だ。
そしてキ〇ト君みたいに二刀流をしたい。
ん? お前の顔でキ〇ト君と同じ武器を使うのは、 失礼だって?
うるせぇ!
俺だって自分の顔がいかに量産型〇ク並みかよく理解してるよ!
だがな! それでも二刀流がやりたいんだよ!
それでモテモテハーレム主人公になるんだ!
「お客さんどうかしましたかい?」
「このおじさんの言う通りで、 どうかしたの俊? 顔から涙が出てるわよ?」
「いや、 なんでもない。 ただ自分の顔がいかにブサイクなのかを改めて思い知っただけだよ」
「俊は、 ブサイクなんかじゃないわよ?」
「ありがとう……」
本当にこいつは、 殺人鬼じゃなければ一切問題ないのにな。
本当に残念だよ……
「さて、 とりあえずこの剣少し素振りしてみていいですか?」
「ええ、 いいですぜ」
俺は、 店主に許可を取り剣を素振りしてみた。
そして俺は剣を縦切りで振ったのだが、 なぜか降り終えたときには、 手元から剣が消えていた。
「あれ? おかしいな?」
「しゅ、 俊! 頭! 頭!」
「頭がどうかしたのか?」
「頭に剣が! それにすごい血も出てるわよ!」
「ははは! そんなわけ……」
俺は、 千鶴の言うことを全く信じてはいなかったが、 頭をとりあえず触ってみることにした。
ん? なんか手がべたべたするな。
なんでべたべたするんだ?
それになんか冷たい鉄のような感触もしたし?
そして俺は、 自分の手を確認した。
そこには、 俺の血がたっぷりついていた。
「ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ! 血がぁぁぁぁぁぁ! 血がぁぁぁぁぁぁぁ!」
「お、 落ち着いて俊! い、 今すぐ引っこ抜くから! ジッとしてて!」
千鶴は、 そう言った瞬間俺の頭に突き刺さった剣を引っこ抜いてくれた。
だがそのせいで俺の出血は、 よりすさまじいことになった。
「血が全然止まらないぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!」
「お、 お客さんこれを使ってください!」
そう言って筋肉おやじは、 俺にタオルを投げてくれた。
俺は、 それを出血している部分に押し当て何とか止血した。
「ひ、 ひどい目にあった......」
「俊大丈夫?」
「ああ」
「俊は、 とりあえず金輪際剣を使うこと禁止ね」
「嘘だぁ!」
「嘘じゃないわよ」
「い、 今のは、 ぐ、 偶然そうなっただけなんだ。 つ、 次からは、 大丈夫だから!」
「絶対ダメ!」
結局千鶴の反対をくらい、 俺のキ〇ト君化計画は、 一番初めから失敗に終わった。
その後俺は、 他の武器も試してみたのだが、 刃物が付いたものは必ず俺へと突き刺さり、 盾などは使い方がよくわからなかったし、 かっこ悪かったのでやめた。
そして最終的に俺の武器は……
「俊。 よく似合ってるわよ!」
「ははは……どうもありがとう……」
手甲に落ち着いた。
てか、 結局俺の武器は、 拳なのな。
もうこの際もうどうとでもなれ。
「そう言えば千鶴は、 どうするんだ?」
「私は、 いらないわよ。 だって私にはこれがあるんだし」
そう言って千鶴は、包丁をこちらへと見せてきた。
異世界のモンスターを包丁で殺すって相当シュールだな。
「さて次は、 防具を買いに行きましょう!」
「お、 おい! そんなに引っ張るなよ!」
「だ、 旦那! お金!」
「これでお願いします!」
俺は、 筋肉おじさんに俺の買った手甲の代金ぴったしの額を投げ武器屋を後にした。
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