4話 やはり俺のステータスは、 チートのようだ!

ドラゴンの奴は、 俺達が話し合いをしている間に俺へと着々とその巨体を近づけさせていて、 俺が気づいたころには、 俺は、 奴に頭から噛みつかれていた。


「俊!」


千鶴は、 そう悲鳴を上げたが俺はと言うと、 ドラゴンに噛みつかれているにも関わらず一切痛みが襲ってこなかった。


「あれ? どういうことだ? てか、 ドラゴンの口の中くっさ!」


正直、 ドラゴンの口の中の匂いは、 俺が今まで嗅いできたすべてのもの中で一番臭かった。


「てか、 なんで痛みが襲ってこないんだ? これは、 やはり神様が俺にくれたチートステータスのおかげなのか?」


ドラゴンの奴も必死に俺を噛みちぎろうとしているが、 全く噛みちぎることはできず、 最終的には、 ドラゴンの牙は、 折れてしまった。


「ふはははは! 俺を食おうとするからだ間抜けがぁ! これでもくらいやがれ!」


俺は、 自分のステータスがチートだということを再確認すると、 ドラゴンに向けて拳で全力の一撃を放った。

その結果、 ドラゴンは木っ端みじんになり俺は、 そのせいで俺は、 ドラゴンの返り血をあび、 全身真っ赤になった。


「あ、 ありえない! ドラゴンを一撃で倒す方がいるなんて!」


町の連中も俺が、 ドラゴンを一撃で倒す瞬間を見ていたらしい。


「あの救世主様を丁重にもてなせ! 大至急だ!」


そう言ったのは、 多分町の町長と思われる男性だ。


「俊。 体は、 大丈夫なの?」


どうやら千鶴は、 俺がドラゴンに噛みつかれたとき俺が死んだと思ったらしく、 俺の体のありとあらゆるところを触って、 安全確認をしている。

途中俺の息子にも触ろうとしてきたので、 そこだけは、 絶対に触られたくなかったので、 回避をしたのだが、 そうしたら千鶴の奴も意地になって何度も俺の息子へと手を伸ばしてきた。

てか、 あいつ。

はなから俺の息子に触ることが目的だったな!

なぜ俺がそれに、 気づいたかと言うと今の千鶴は鼻息がとてもあらく興奮しているようだったからだ。

だが千鶴は、 美人のため興奮していると言っても、 見るに堪えないものではなく、 かえって男を興奮させるようなものだった。

そのため町の男連中は、 今の千鶴を見て股間を抑えている。

そして、 その中に妻帯者や恋人がいたものは、 奥さんや恋人にボコボコにされていた。


「救世主様。 もてなしの準備ができました。 こちらについてきてください」

「お、 おう」

「俊。 置いてかないでよ」

「お前は、 来るなよ! 殺人鬼!」

「本当に俊は、 懲りないんだから」

「今の俺は、 最強なんだぁぁぁ! 例え相手がお前でも負けるわけがない!」


そうして俺は、 千鶴へととびかかった。

あれ、 確か前もこんなことあったような?


「ふん!」


結果俺は、 千鶴にまたもクロスカウンターを決められた。

そして、 前回の時より千鶴の方もキレが増しており、 俺は、 地面で呻いている時間が前より長かった。


「あの~救世主様。 私についてきて欲しいのですが……」

「俊が、 馬鹿なことやったせいでこの人を困らせちゃったじゃない。 ほら、 早く行くわよ」


そう言って千鶴は、 俺の足をつかみ引きずりだした。


「痛い! 痛いよ千鶴さん! じ、 自分で歩けるから手離して!」

「ダメよ。 だってこれは、 俊へのお仕置きだもの」

「さっきは、 ドラゴン倒して調子乗ってただけなんですぅぅぅぅ! だからお願い! 手を離してぇぇぇぇぇ!」


結局俺は、 町長らしき人に案内される場所まで、 千鶴に引きずられた。

町の中は、 石などが多かったため、 俺の頭は、 たんこぶでいっぱいである。


「では、 今からこの町を救ってくださった救世主様への感謝の意味を込めた宴を開催しようと思います!」


町長が、 そう言った瞬間花火が打ち上げられたし、 宴がはじめられた。

宴には、 とてもおいしそうな料理がたくさんあり、 今の俺は、 とてもお腹がすいているためこれは、 かなり嬉しい。

また料理は、 バイキング形式のようだ。


「俊。私が料理持ってきてあげるわよ。 だからここから動いちゃダメよ?」

「ああ、 ありがとう」


しめた! 千鶴が料理を取りに行っている間に離れよう。

さっきチラッと見たが、 可愛い女の子も沢山いるようだったし、 今までナンパの経験はないが、 今の俺ならいけるぜ!

俺は、 そんな考えを巡らせこの場を離れようとしたが、 俺のとこに町長と思われる人物がきて、 逃げることができなくなってしまった。


「救世主様。 楽しんでおられますかな?」

「ああ、 楽しんでるよ」


本当は、 お前が来なければもっと楽しめたんだけどな!


「申し遅れました。 私の名前は、 レオンといい、 この町の町長をしております」


やっぱり町長だったか。

てか名前がレオンって、 ゾンビを沢山倒してそうな名前だな。


「それからこちらは、 ほんのお礼の気持ちです」


中には、 茶色の硬貨らしきものが、 たくさん入っていた。

多分これが、 この世界のお金のプライスなのだろう。


「それと救世主様に一つ御願いがあるのです」

「なんだ?」

「救世主様の実力を見込んで、 冒険者になってほしいのです。 そしてこの町にやってくる凶悪な魔物達を退治して欲しいのです」

「いいぞ」

「ありがとうございます! それでは、 今から登録のための手続きをしようと思います。 おい、 いますぐ鑑定水晶を持ってこい!」


レオンがそう命じると一人の美人の女性が来た。


「救世主様。 この水晶の上に手を置いてください」

「そんなことより君今彼氏いる? よかったら俺と……」

「俊何やってるの?」


そこには、 料理を取り終え戻ってきた千鶴の姿がいた。

そして、 千鶴の右腕には、 包丁が握られていた。


「さて! この水晶の上に手を置けばいいんだな!」

「え、 ええ。 そうです」


俺は、 言われた通りに水晶の上に手を置くと宙に変な文字が浮かんできた。

俺は、 字が読めないためなんて書いてあるかわからないが、 きれいな女性とレオンはとても驚いているような顔をしていた。


「す、 すごいです! まさか全部のステータスが、 最高値に近い数値を示しています!」

「さすがです救世主様!」


どうやら俺のステータスは、 相当すさまじいようだ。

ちなみにステータスとは、 自分では確認できるが、 他者が確認するためには、 この鑑定水晶がいるらしい。


「ちょ、 ちょっと待てください! 一つだけおかしなステータスがあります!」

「何! それは、 なんだ!」

「運です! 運だけが、 どんどん下がっていっています! あ、 今マイナスに到達しました」

「なんだと!」

「1000。 2000。 3000。 ダメです! 全然止まりません!」


そして、 次の瞬間鑑定水晶は、 砕け散った。

ちなみ砕けた水晶の破片は、 俺の目へと吸い込まれるように突き刺さった。


「目がぁぁぁ! 目がぁぁぁ!」


俺は、 そうム〇カ大佐のように、 叫びながら地面へと転げまわった。


「俊大丈夫なの!」


千鶴は、 手に持って行った料理を放り投げ、 俺の心配をしてくれた。

だが、 騙されてはいけない。

こいつは、 殺人鬼だ。

だからちょっと優しくされたくらいでほだされないんだからね!


「俊。 本当に大丈夫なの?」

「大丈夫だ、 問題ない」

「申し訳ありません。 こちらの不手際で救世主様にお怪我をさせてしまいまして! ほら! お前も謝れ!」

「も、 申し訳ありません」

「き、 気にするな。 頭をあげてくれ」

「救世主様は、 なんと心がお広い方なんでしょう!」

「それで、 冒険者登録は、 これで終わりか?」

「はい。 ステータスの控えは、 取らせていただいたので最後に名前だけお願いします」

「俺の名前は、 俊だ」

「シュン様ですね。 わかりました。 また明日冒険者ギルドの方においでください。 そこで冒険者カードをお渡しします」

「わかった」

「ねぇ、 私も冒険者に登録したいんだけど?」

「あの、 あなたと俊様のご関係を教えていただいてもよろしいでしょうか?」

「私は、 俊の妻です」

「すいません! それは、 そいつの嘘です! 彼女は、 俺の幼馴染なだけです!」

「チッ!」


千鶴は、 露骨に舌打ちをした。

なにこの子! 超怖い!


「そうなんですか。 なら今すぐ新しい鑑定水晶を用意しますのでお待ちください」

「わかりました」

「それから俊様については、 この後職業をきめてもらいたいのですが、 よろしいでしょうか?」

「いいが、 どうやって調べるんだ?」

「それについても準備しますので少々お待ちください」


俺たちは、 レオンにそう言われ準備が整うまで待つのであった。

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