悪役令嬢として世間から嫌われ、好きな王子と結ばれないままの自分の運命に辟易したマクリール。しかし、永遠に同じことが繰り返すゲームの世界から逃れることはできない……と思いきや、突然のバグによりマクリール視点では異世界、読者視点では現代日本へと飛ぶことに! ゲームの世界から逃れて理想の王子様と巡り合うチャンス!
しかし召使いの爺やと共にやってきた現実世界でマクリールが最初に入ったのは牛丼屋……。メニューに並ぶ未知の食物の数々、そしてよくわからない注文のシステムに悪役令嬢は立ち向かう……!
初めて見る食べものに対して、次々とカルチャーギャップを受けるお嬢様の姿は大変微笑ましい。だが、お嬢様はこの世界に来たばかりで日本円は持っていない。変わらぬ運命を変えて未知の世界に足を踏み出したのに、ファーストステージの牛丼屋の時点で詰みの予感がぷんぷんする。
タイトルからすればこの後の展開はある程度予想がつくが、物語はまだマクリールが働くところまでは進んでいないのだ! 食事をすることにすらつまづいてるのに、この先さらに労働まで可能なのか!? ぜひ続きが読みたい一作だ!
(「色んなアルバイト」4選/文=柿崎 憲)