ある日突然オレの青春ラブコメがぶっ壊れたんだけど。
まい猫/白石 月
プロローグ
プロローグ 〇月✕日少年は美少女の──。
今からオレに関するちょっとした小話をしようと思う。まぁすぐに終わるから聞いてくれ。
オレは小学生の時にとある友人から突然『お前って凄いな! 日本一だな!』と言われたことを未だ覚えている。
だけどその時は本当に突然言われたので、一体なんの事だかさっぱりわからなかった。
その理由を知ったのは中学の秋頃だったかな。とある女子達の小話が聞こえてきてとある豆知識を知ることとなった。
オレの苗字は佐藤。この苗字をもつ日本人は日本一を誇っていると。
その時オレはあの時友人に言われた謎に包まれた言葉はこんなしょうもない意味だったのかと理解した。
その時までオレは何かの能力に関しては日本一なのだと心の中で言い聞かせ心を折らずに頑張ってきていたりした。
今思えば昔の友人の言葉を心の支えにしてきたとか馬鹿らしく思えてくる。
友人なんて所詮友人、そこまで信用していいものでもなんでもない。
オレはもう友人は信用することができないのかもしれないな。
ま、そんな小話はどうでもいいか。
つまりその時オレって本当になんにも取り柄がないんだなと自分に失望したんだよ。
それからオレは他の人との劣等感を感じてしまい、無意識に距離を置いてしまっていたらしい。
そんなオレなのだが、オレは今とある女子生徒との距離を急接近させてしまっている。
確かに誰かともっといい関係にはなりたかった。だけどその女子生徒との関係はそんな生ぬるいものじゃない。
オレは図書館の扉に手を当てて一度深呼吸をする。
オレは今から図書館で待っているだろう女子生徒と今日も話をすることになっている。
深呼吸をした理由は緊張をほぐすためではない。
オレは女子と話すだけでほんの少しだけ緊張してしまう男子の心がわからない訳ではない。
むしろオレもその一人だ。
だが断念しよう! オレは今、別に緊張している訳ではない!
オレは手に当てていた扉をそおっと開けて、図書室の中を覗く。
心の中で図書室に例の女子生徒が居ないことを祈っていたのだが、その祈りは意味もなく、例の女子生徒は図書室の椅子に座ってこちらを見ていた。
そして女子生徒は
オレは女子生徒の発した言葉を聞くと同時にゴクリと喉を鳴らして心を落ち着かせる。
そしてオレは言われるままに図書室の中に入り、きちんと扉を閉めて女子生徒の方へと歩み寄る。
この状況を見て女の子と遊べるなんていい事じゃないかと怒る男子陣をオレは一度殴りたい。
確かに彼女はこの学校の誇る美少女の一人、成績優秀で運動もそこそこできる万能タイプ。誰もが彼女にしたいと思える存在なのかもしれない。
だがオレは断じて違う。
それは上辺だけで本当はこいつはそんなやつじゃない。
「今日は私の──として、何をしてくれる──?」
この言葉を聞くと同時にオレはこれから起こる出来事に恐怖感を抱いていた。
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