勇者なのにパーティを追い出された俺の逆襲無双~野菜武器で世界最強~

@sazamiso

第一話 今日からあなたが勇者です

 俺の名前はイーライ・マサヨシ。


 性別は男、歳は今年で十九になる。


 ごく普通の農村に生まれ、両親と共に畑仕事をしながら暮らしてきた。


 特に何の起伏も無い平凡な人生を送ってきた俺だったが、ある日畑で取れた作物を城下町に売りに出かけた時、人生が百八十度変わることになる。


「おめでとうございます!今日からあなたが勇者です!」


 大方の野菜を売り終え帰路に着こうとした時、背後からそんな声をかけられる。

 振り返って見てみれば、教会の神官服を着た中年のおっさんが数人の冒険者を連れて立っていた。

 全員が全員、俺のことを凝視しているので声を掛け間違えたとかじゃないだろう。


「えっと、なんだって?」


「あなたは勇者に選ばれたのです。今すぐこの者たちと魔王を倒しに行きなさい」


「いや行きなさいて突然言われてもわけわからんでしょ。俺が勇者?何かの間違いだろ。だって俺ただの農民だぜ?」


 俺の言葉に神官は首を振る。


「女神ディアナ様のお導きは絶対です。まずはそのみすぼらしい格好をどうにかせねば。連れて行きなさい」


「え、ちょ、おま、や、やめろぉ!」


 神官の後ろに控えていた戦士風の大男に担がれ、俺は教会へと強制的に連れて行かれた。


―――


 教会に到着するなり、やぼったかったシャツやズボンは全て捨てられ、代わりに勇者っぽい鎧を着せられる。さらに剣と盾を装備するとあっと言う間に勇者マサヨシが誕生していた。


「まぁ上々でしょう。では早速旅立つがいい勇者よ!危機はもうすぐそこまで迫っている!」


「いやちょっと待てや。全てが突然すぎるだろ。ちょっとくらい説明してくれないとわけわからんて」


 すると神官はどこか面倒くさそうな顔をした。

 勇者の旅立ちだってのに随分と適当だなおい。


「仕方ありませんね。先代の勇者が魔王軍の凶刃に倒れ、女神ディアナ様のお告げによりあなたが次の勇者に選ばれた。だから魔王を倒しに行ってきなさい。以上」


「説明短っ。え、まじでそれだけ?」


「ああ忘れていました。まずこれが支度金十万イェンです。足りない分は依頼をこなすなりなんなりして自分で稼いでください」


 金貨の入った袋を渡された。魔王を倒しに行けという割には俺の月給より大分安い。十分の一くらいしかない。

 それから神官は背後にいた冒険者達に手を向ける。


「紹介しましょう。彼等があなたと共に魔王を倒しに行く仲間達です」


 神官が紹介したのは五人。

 イケメンフェイス騎士アーレン。

 屈強な体を持つ戦士ゴブリー。

 ツインテールが可愛い魔法使いリリー。

 お淑やか清楚系美少女僧侶フランシスカ。

 エルフ耳が特徴的な女弓使いユゥリィ。


 前衛から後衛まで幅広くカバーしているバランスのいいパーティだった。


「彼等はその職に秀でたつわものばかり。きっとあなたの旅路を上手くサポートしてくれることでしょう。では改めて旅立つがよい勇者達よ!魔王を打ち倒し、人類に安寧を与えたまえ!」


 そんなわけで数分前まで農民だった俺は、勇者として旅立つことになった。

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