報告書.1

 5月17日

 オレンジジャパンさんから、待望の私の体格に合わせたタブレットとフィンガーキャップが届けられた。

 Wi-Fiの環境もオレンジジャパンのスタッフさん達が整えてくれた。

 正に至れり尽くせり。

 

 小型の怪獣一匹には過ぎた環境では、と恐縮しきり。

 ともかくこれでようやく簡単に本が読めるし映画も見れる。

 人間で言えば食卓テーブル並みのサイズのタブレットに早速電子書籍を数冊ダウンロードする。

 自然と拡大サイズになる為、漫画は絵がぼやけるのではないかと心配したが、特に問題はなかった。

 技術革新恐るべし。

 暫く見ない間にどの話も随分展開が進んでいたが、あっという間に最新刊まで読み終わってしまった。

 活字に飢えていたせいだろう。

 それからお気に入りの映画を流し見していたが、ふと日記でも付けてみようかと思い立ち博士に相談してみる。

 上役とあれこれ話し合っていたようだが、


 ①書いたものは一度博士に提出する事

 ②機密に触れそうなことは書かない事

 ③体裁は報告書とする事

 ④良識と節度ある文章を心掛ける事


 を条件に許可が下りた。

 他人に見られるのは少々気恥ずかしいが、この際書ければ何でもいい。

 思いつきなのだから長続きするかも分からない。

 それでも暫くは続けてみようと思う。


 それにしても画面を割ってしまいそうで、冷や冷やする。

 私が踏んでも割れない素材で出来てるのは分かってるのだが。

 慣れるまでは時間がかかりそうだ。


 追記:

 博士がSNSへの登録を勧めてきた。

 機密保持とか大丈夫なのか。



 コメンタリ:

 コ「懐かしい!オレンジジャパンさんはこの後も色々お世話になってますね。毎回ありがとうございます」


 は「君の体色をモチーフにしたモデルとかも出してくれたよね」


 コ「あれ記念込みで欲しかったんですけどねぇ、流石に二台目が欲しいとは言い出せなくて。大きな声じゃ言えませんけど私が使ってるヤツ、相当予算が…ね」


 は「宣伝ポスター撮影の報酬を差し引いても、全然足りないからね(笑。ちなみに私は今でも持ってるよー」


 コ「ありがたい!使ってらっしゃる方はぜひとも長生きさせてあげてくださーい」

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