夢現

 ベッドの上に三人で横たわる。

 川の字と呼ぶには密着しすぎているが、今回は真ん中ではないためそこまで緊張しない。むしろ、包容力あるレティの抱き枕代わりになっていると安心する。


「散歩はどうでした?」


「悪くなかったわ。ギルド以外は随分と変わっちゃったけど、時代は移ろうものだし仕方ないわね。まあ、楽しめたかな」


「なら、もっとゆっくりすればよかったのに」


「あら、お邪魔だったかしら」


「そんなことはないですけど……」


「食事の誘いがしつこくてね。面倒になって切り上げてきたのよ」


「ナンパされてるじゃないですか」


「ふふふっ、こんな年増を誘うなんて気が知れないわ」


「うーん、年増とかそういう次元じゃない気が……」


「バースくんの女だって言ったら早々に諦めてくれたわ」


「何やってくれてるんですか! 噂が広まったらどうするんですか!」


 話の種は尽きなかった。相手が仙人ということもあり、昔話にも退屈しなかった。

 気付けば夜は深まり、眠気がじわじわと意識を沈めていった。


「そろそろお休みなさい、可愛い子たち。夜は儚く短いわ。いい夢をね」

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