不眠のサンドイッチ

 サラビアロの宿屋はどこもかしも狭い。狭い部屋で問題となるのは寝る場所だ。

 残念ながらベッドは一つしかない。チェリーコードだけなら特に問題はないのだが、アレシャンドラもいるとなると一緒に寝るのは憚られる。

 ソファーもないのかよ。床で一晩過ごしたら風邪を引きそうだ。かといって、この狭いベッドを三人で使うわけには――

 ベッドを前に唸っていると、アレシャンドラはお構いなしに身を放り投げた。


「どうしたの? 寝ないの?」


「やれやれ、遠慮のないやつだな。三人で寝るわけにはいかないだろ」


「え、いいじゃん」


「よくないわよ! こんな狭いベッドにぎゅうぎゅうで横になったら、バースが何かするかもしれないでしょ!」


「何もしねぇよ」


「とにかく! バースは私の隣で寝てよね! アレシャンドラに何かしかねないから!」


「えー、私もバースの隣がいい。この街、物騒だしバースの隣だと心強いじゃん?」


「むぅ……じゃあ、間を取ってバースが真ん中ね」


「よりによってかよ……」


 協議の結果、俺がチェリーコードとアレシャンドラに挟まれて眠ることになった……のはいいが、いかんせん両者との距離が近い。


「ちょっと!、あなた、バースにひっつきすぎじゃない?」


「そんなことないっしょ。そういうあんたこそ近すぎっしょ」


「しょ、しょうがないでしょ。これ以上離れたら床に落ちちゃうんだから」


 両腕に当たる柔らかい感触。女の子特有の甘い匂い。


「今夜は安眠できそうにないな……」

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