相談

「それで、何に悩んでるの?」


「うーん、悩んでるっていうか……なんかぱっとしないんだよな」


「何が?」


「人生、かな。夢もなければ希望もない。生きる目的がないっていうかさ」


「そんなの、生きてるうちに見つけるもんじゃない? うちら、まだ高校生じゃん」


「大人が言いそうなことだな。でもさ、そんな人生、生きる価値があると思うか?」


「…………」


「……ごめん、ちょっと話が重すぎたな。とにかく、俺は目的がほしいんだよ。ついさっきまでそれがあったのに、急になくなってしまった」


「どういうこと?」


「俺にもわからない。でも……多分、俺は負けたんだと思う。勝ってさえいればこんなことには……」


「よくわかんないけど、とりあえず悩んでるってこと?」


「まあ、そうかな」


「じゃあ、今からお前を殴る!」


「どこの教師だよ。ってか、なんでだよ」


「気合を入れるため。グーパンでいくから。痛い方が悩みも吹っ飛びそうじゃん?」


「そうか? まあ、いいや。やるなら手加減しなくていいぞ」


「あ、女子だと思って見くびってるでしょ? よし、歯ぁ食い縛れ」


「はいはい」


 瞬間、葦原の拳は俺の顎に直撃した。

 視界がぐらりと揺らぎ、俺はベッドにダウンした。

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