孤独との別れ

 水平線に滲む夕日。

 太陽が沈むと気分も沈んでくるもので、俺とクロードは無言のまま海辺に座り込んでいた。

 空が茜色から藍色に支配されていく。

 さざめきの残響だけは夜が訪れても変わらない。それとは反対に、今という時は無情にも流れていく。


「そろそろバカンスも終わりだ」


 クロードはばっと顔を上げた。


「行ってしまうのか?」


「ああ。俺はトップランカーを目指してる。いつまでも遊んでるわけにはいかない」


「…………」


 俯き加減になるクロード。俺は彼女の肩に手を添えた。


「心配するな。君はもう一人じゃない。友達は離れていても友達だろ」


「それはそうだが……」


「寂しいことはない。クローディアがいるじゃないか。互いに交われなくても、君とクローディアは一緒だ」


「……そうか。そうだな」


「また会いに来るよ。約束だ」


「約束……ああ、約束だ」


 俺とクロードは小指を絡み合わせた。

 このレアルタを再び訪れた時が楽しみだ。きっと、クロードは今よりもっと人間らしくなっているだろうから。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る