死にたがり
チェリーコードの買い物を待っている間、俺はカフェでアイスコーヒーを嗜んでいた。
テーブルの上には、ハンドガンと投擲用のナイフが十本。そろそろパーティーの活動を再開するため、武器屋から買ってきたものだ。
スナイパーライフルだけでは接近戦が危うい。リバースのようにがんがん攻めてくる相手にはハンドガンとナイフが適している。
ジャケットの内側にハンドガンとナイフをしまい、席を立つ。
「お兄ちゃんは殺し屋さん?」
俺の前に立っていたのは幼女。
金髪、碧眼。白いワンピース。出で立ちからして、どこかのお嬢様のようだ。
俺は幼女の目の高さに合わせて腰を落とした。
「やあ、君は?」
「クローディア」
「俺はバース。銃とナイフが見えたから殺し屋だと思った?」
「うん」
「俺は……殺し屋かもしれない。依頼があれば殺しをやるからね」
幼女相手に何言ってんだ、と後悔した。ここは嘘をついた方がよかったかもしれない。
しかし、クローディアは怖がるどころか目を潤ませて俺の腕を両手で掴んだ。
「お兄ちゃん、私を殺して」
「えっ?」
「お願い。お金ならいくらでも払うから」
「え、えっと、どういうことかな?」
「私がいると皆が危ないの。だから、私を殺して」
困り果てていると、クローディアの両親らしき夫婦がドアのベルをちりんと鳴らした。
「ごめん、クローディア! 俺、もう行かなきゃ!」
逃げるタイミングができてちょうどよかった。
俺はクローディアの両親と入れ替わるように足早にカフェを後にした。
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