バーサーカーが銃と魔眼で異世界を無双する

姐三

プロローグ

バーサーカーと銃と魔眼

 トリガーに人差し指をかける。


 ――見える。


 ターゲットから十キロメートル以上は離れているはずなのに、俺にははっきりと見える。風の流れが、重力のさじ加減が、弾道の歪みが。

 トリガーを引く。銃口から一発の弾丸が撃ち出される。

 弾丸がターゲットに到達するまで三秒。何も計算する必要はない。俺には見えている。全てフィーリングでいい。

 弾丸は風を切り、ターゲットまで一直線に吸い込まれるように走る。

 無機質な弾丸がまるで意志を持っているかのような――見る者にそう感じさせるほどの正確さ。

 俺は腹這いの体勢から立ち上がり、スナイパーライフルを肩に担いだ。


「任務完了。帰るぞ、チェリーコード」


 そう言って踵を返すと、双眼鏡でターゲットを凝視していた少女――チェリーコードは慌てて俺の後を追いかけてきた。


「待ってよ、バース」


「……俺の背後に立つな」


「ああっ! そうだったわね、ごめんなさい」


 溜め息を一つ。

 全く、どうしてこんなことになってしまったのか。よりにもよってバーサーカーになってしまったせいで、こんなか弱い少女にも怯えなくてはならない。


 ――これは、攻撃力にステータスを全振りしたバーサーカーの物語。

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