侵略者

とっぴんぱらりのぷ〜

第1話 侵略者

深夜にも関わらず、外では酒場で呑み過ぎた吟遊詩人たちの唄声や、夜会が終わった後なのか組織に属する者たちの騒ぎ声が聴こえてくる。

俺は今日もその声を聴きながら一人ゆっくりとエールを煽る。この街に来て二年、その間、ヤツらとの闘いも休むことなく続いていた。

ヤツらは神出鬼没であり、俺の……いや、全人類にとっての宿敵と言っても過言ではない。人類が誕生する以前、その驚異的な生命力をもって二億年もの昔から、この世界を蹂躙し、あるいは、監視してきたのだろう。

自分の属する組織の事を考えながらエールを煽っていると誰かに見られているような感覚を覚える。


「来たか……侵略者どもめ」


学会が発表している正式な名称もあるが、俺はヤツらの事を侵略者と呼んでいる。

壁際から動かずに「お前ごとき、いつでも殺せる」と言わんばかりにジッと俺を見つめている。

ヤツらは滅多な事では直接攻撃をしてこないが、最も恐ろしいのは見た者のアストラルボディにダメージを与えることだ。見た者は恐怖し、酷い時は発狂しバーサクという状態異常を引き起こす。

残念ながら、二年にも及ぶ闘いで耐性を得た俺に精神的なダメージを与える事はできない。


「残念だったな、その傲りが命取りになる……」


俺は迷わなかった。この世界においてヤツらに対抗できる唯一の武器を手にとり引き金を引いた。


カシュ!


カシュ!カシュ!


しまった!昨日の戦闘で残弾を使い果たしていたか!

だが、慌てる事はない。この街は眠らない街だ。俺は新しい武器を手に入れるべく部屋を後にした。







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