重機動戦記ショートソード
月見ひろっさん
第1話
『3番ポートより、地球行きの便は15分後に発進いたします』
場内アナウンスが流れてきて、15分後に地球行きの宇宙船の便が出る事を知らせてきた。
「それじゃあ、川田君、私は一度地球の本社へ報告しに行くから、後のことは頼んだよ、まあすぐに戻ってくるだろうけど」
「はい、社長、できる限りやってみます、お気をつけていってらっしゃいませ」
宇宙船に架かっているタラップを登り、社長は船内へと消えた。俺はお見送りに来ただけなのでスペースポートのお見送り広場で待機している。
そして15分後、社長や他の人達を乗せた宇宙船が発進する、静かに浮遊し、後部エンジンに火が入り、徐々に上昇していく。俺の他にもお見送りに来ているであろう人達が手を振っている。
しばらく上昇していく宇宙船を見て、俺が勤めている会社の社長の見送りも済んだ、後は会社に戻る前に少し一服して帰るだけだな。俺は喫茶店コーナーがあるスペースポートの建物の中へと入って行く。
電光掲示板が様々な惑星への旅行の案内を宣伝している、特に気になるものはなかった。まだ仕事中だからだろうな。長期休暇はまだ等分先だろう、特に行きたい惑星があるわけでもないしな。しばらくはここ、惑星ミズンでの仕事が残っている。
俺は喫茶店コーナーに入り、椅子に座る。注文メニュー画面に表示されている品物を指でタッチする。コーヒーだ、そして灰皿を自分の近くに置いて、煙草に火をつける。
「ふう~~、」
煙草の煙を
「お待たせいたしました、コーヒーになります」
「ありがとう」
ウエイトレスがテーブルの上にコーヒーを置く。
「ごゆっくり」
ウエイトレスのアンドロイドはその場を去って行った、俺はコーヒーを一口啜る、うむ、なかなかいい味だ。香りもいい。しばらく一服する。
俺の名は川田
ここ、惑星ミズンも地球の入植惑星のひとつだ、なんでも増えすぎた人口問題を解決するために宇宙暦93年頃から人が住める惑星を探しまくっていた時代の時に、この惑星ミズンは発見されたんだそうだ。その頃の地球の科学技術は先進的なものが多く、宇宙船開発、ワープ航法、二足歩行戦闘車両、などの技術が飛躍的に上昇していったんだそうだ。
ま、今の俺には関係ないけどね、昔ながらのやり方の仕事も廃れることなく、こうして俺も仕事をやっていけるって訳だ。電気工事なんていつの時代も変わらないって事なんだろうか。
さて、一服もしたし、コーヒーも飲んだし、そろそろ会社へ戻るか。俺は会計を済ませ、喫茶店を後にする。電気自動車エレカーに乗り俺が勤めている会社へと車を走らせる。
道は空いている、この惑星ミズンではまだまだ発展途上なところが多い。入植希望者の数もそこそこといったところだ。まあ、だからこそ今川電気設備工事店みたいな小さな会社も仕事にありつける訳なんだけれども。
50分ほど車を走らせて、会社へと戻ってきた。エレカーを降りて事務所がある2階へ、扉を開け中に入る。
「ただいま戻りました」
「お疲れ様です、川田さん、どうでしたか」
「うん、社長は無事に出発していったよ、何か変わりはなかったかい、めぐちゃん」
「あ、・・・そう言えば急ぎの依頼があるんでした、川田さんって確かアーマーのライセンス持ってましたよね」
「二足歩行車両の免許?、一応高所作業をする為にライセンスは取ったけど・・・」
「担当の者が帰ってきたらすぐに伺いますって言っちゃったんですよ、どうしますか」
「う~ん、急ぎの仕事だよね、漏電でもしたのかな、わかった、すぐに行くよ、現場の場所は?」
「それが・・・軍の施設からの電話だったんですよ」
「え?、軍って、地球連合軍の?」
「はい、なんでも急いで来てほしいそうです、え~っと、確か第2演習場まで来てほしいそうです」
「第2演習場だね、わかった、準備してすぐに伺いますと連絡しといてくれるかな」
「はい、わかりました」
「よろしくね、めぐちゃん、じゃあ俺、外に出ていくから」
「よろしくおねがいします、川田さん」
事務員のめぐちゃんは先方に連絡し始めた、よし、俺も電気工事用の工具を準備して早速現場へ向かおう。それにしても軍からの依頼だなんて、ウチみたいな小さなとこじゃなく、もっと大きな会社かお抱えの所とか色々あるだろうに。なぜ今川電気なんかに依頼するのかな?まあいいや。急いで第2演習場へ向かおう。
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