Cell / Automata
ナード
第1話 プロローグ
2029年6月1日、フェアバンクス、レスター、リヨン、クラスノヤルスク、ジュバ、ジャラーラーバード、アリススプリングス、ウェリントン、サンタ・クルス・デ・ラ・シエラの各都市に
それはキラキラと輝いている扉のない門。後にGlobal Accident and Tragedy Extensiveと名付けられたもの。通称ゲート。
ゲートの調査隊が組織され、様々な解析が行われた。
硬度・
発光システムも不明。エネルギーをそのまま光に変換しているが半導体を使用していない。
ゲート近傍ではやや無線の使用が難しくなるが、空電ノイズがあるわけではない。
誰がなんのためにこれを設置したのか。そもそもなんなのか。
ゲート出現から三ヶ月後の9月1日。
伝承にあるグレムリンにそっくりだったためにそのままグレムリンと名付けられた。グレムリンの数は多かったがそれぞれはひ弱であり、警察で十分に対応できた。
倒れたグレムリンはしばらくすると消滅した。
それから四日後、やはり緑の目がある醜悪な外見の小さな人型の生き物が現れた。ゴブリンと名付けられ、やはり警察によって鎮圧された。
倒れたゴブリンもまたしばらくすると消滅した。
翌日は毛むくじゃらの人間サイズの生き物が現れた。緑の目は四つ。
これは警察では鎮圧しきれず軍の出動があった。バグベアと名付けられた。
このあたりでゲートは危険と判断、軍の監視下に置かれるようになった。
ゲートからは様々な神話や伝説に語られている生物によく似たものが発生した。それらは徐々に大型化し数を増やし凶暴化していく。コードネームをつけ分類されていったが、最終的にはそれらをひとまとめに
ミシックは出現すると長距離無線の利用が難しくなる。数が増えればほぼ長距離無線は使えず、短距離通信のみとなる。また上空の空気密度が極度に減少し最新アビオニクスの戦闘機ですら飛行不能になる。
高度な情報システムを封じられた結果、徐々に人類側は押されることになる。
ミシックはゲートから支配地域を増やし人類は居住区域を失い続けていた。
2032年、ゲート破壊のための核兵器の使用を決議。全住民の避難及び死亡が確認されたジュバへの戦略核兵器が落とされた。周囲のミシックは消滅したもののゲートは消滅せず、核兵器による排除は失敗に終わる。
ジュバのゲート付近はしばらく不毛の地になると考えられていたが、翌週からミシックの発生を、1ヶ月後には鬱蒼とした森林に変化したのを偵察衛星からの解析データで確認。結果的にはジュバのゲートはこれ以降活性化し、アフリカはミシックのものとなった。
2035年、短距離通信ならばなんとか成立するため、その短距離通信を中心に各システムを統合管理する戦術統合インターフェイスのUNified Interface for Tactics通称ユニットが完成する。歩兵用ユニットはバックパックと
作戦司令本部はそのメッシュネットワークを通じ司令を出していく。通信は低速なため音声や映像での指示は行われず文字での指示が行われる。HMDにその情報が投影され、実行していく。
当初は圧倒的戦果があったが、最終的には各兵の判断に委ねる部分が大きくなるために作戦行動に支障が出始め、拮抗し、やがて劣勢に回る。
2050年、ミシック支配地域が陸上の25%を超える。皮肉なことに国家間の連携は緊密化し、事態解決のための協力関係が強化されていく。
2055年、一定水準をクリアする兵士を揃えるため
2085年、デザインドをベースに高速成長を組み合わせた
デザインドは骨格、筋力を強化した個体であり、それをベースにプロダクツは作られた。更にユニットに接続するためのポートを手術で埋め込む。これにより自らをメッシュネットワークの中に組み込み、より高度で高速な意思疎通を行えるようにした戦闘特化人造種族となった。ただし彼らのDNA
2086年、プロダクツの技術から人工筋肉の安定培養技術が完成。
2087年、ユニットに強化外骨格として人工筋肉を接続した改良戦術戦略統合インターフェイスSuperior Unified Interface for Tactics and Strategies通称スーツが完成。
統合インターフェイスは装備者であるデザインドやプロダクツの意思を人工筋肉に伝え、人工筋肉は行動の補助を提供する。
2099年現在、
そう、人類はすでに人類ではないものになりながら、まだ抵抗を続けている。
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