ギターのFコード

 ギターを初めて弾いた。結果、手が死んでしまった。

 まずはコードと呼ばれる和音を練習するのだがこれが難しい。触ってるつもりの無い弦に指が当たってしまう。は? そんなとこ触ってねーよ! と、自分の指に何度もキレる。

 しかし一度きれいに音が出ると、嬉しくてそのコードを何回も弾きたくなってしまうから不思議だ。何の曲にもなっていないのに。


 ただ、Fコードだけは許さない。Fコードというのは初心者の鬼門と呼ばれていて、基本のコードのなかでは段違いで難しいものとされている。事実、難しかった。こいつのせいでイライライライラ。めちゃくちゃ変な手の形で指の筋がバグりそうだった。めっちゃ手とか指痛いし。舌打ちとかため息とかめちゃくちゃした。多分端から見てたら相当苛ついてて近づきたくない人認定されるレベルだっただろう。


 そんなFコードだが格闘の末、それなりの音が出せるようになった。

  やった!嬉しい!もう何回も弾いちゃう♥️

 とはならず、弾けた瞬間、よし!終わり!もう二度とやらん!手、痛すぎ!!!死ぬ!

となってギターの練習を終了してしまった。


 これからギターを続けるかはわからない。続けたとしても、一生Fコードのことは好きになれない気がする。続けなかったとしたら、それは全てFコードのせいだ。


 Fコードとは、それほどに恐ろしい、鬼のようなコードなのだ。知らんけど。

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