絵に描いた餅も美味しそう

たんつ

序 絵に描いた餅も美味しそう

絵に描いた餅、月夜に提灯ちょうちん、猫に小判。

夏炉冬扇かろとうせん、帯に短しなんとやら。


ニュアンスの違いはあれど、役に立たないことを例える言葉たち。

確かに全部、なんの役にも立っちゃいない。

けれど、想像してみるとなんだか愛おしくなり、ふっと顔がほころぶのは僕だけだろうか。


例えば月夜に提灯。

月夜で明るいのに、わざわざ提灯持って周りを照らすちょんまげ男。

馬鹿で阿呆で呆れてしまう。けれどこの男、憎めない。

自分が何かに思い詰め悩んでいる夜、こんな男を見たら、悩んでいることがバカバカしくなり、困り顔で笑ってしまう。


このエッセイも、読んだところで多分何の役にもたちません。

けれど、読んだ人が「なんだこれ」と、ふっと顔を緩めてくれれば、こんなに幸せなことはありません。

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