第2話 白の少女

「はじめまして、クロウ。そして…ラルス・マーセル。」

女の子は俺達を見るなり、俺達の名を言った…

「おい…何で俺達の名前を知っている…?」

「この世界はういが作ったからだ。」

「はぁ…!?いきなり何言ってやがる…」

この女の子が世界を作っただと…?そんなことが何故出来るんだ!?

「この世界を作り上げ、特定の世界、時代から人物を呼んだのはういだ。」

「というかお前、名前はあるのか?」

「ういの名はシラリウス・ヒュー。」

女の子は若干11歳ぐらいだった…この幼さが余計にこいつの「底知れない何か」を感じる原因かもしれない…そう思う俺がいた。

「お父さん!クロウ!」

後ろから声がして振り返るとセリドとレイヴが戻ってきた。それと…何か見覚えのある奴が。

「まさか、お前も世界(ここ)に来てたとはな…セン。」

センもとっくに大人になってるはずなのだが、外見は俺とクロウが出会った時ぐらいに若返っていた。

「えぇ、まさかこんな場所で再開するなんてね。しかも皆懐かしい姿で。」

「でも今は昔話をしている暇はないんだ。早くここから出なくちゃいけねぇ。」

「お父さん、その子はどうしたの?」

セリドはシラリウスを指して不思議そうに見ている。

「はじめまして、セリド・マーセル、セン。」

「えっ!?何でこの子私の名前を知ってるの!?」

「どうやらこいつはこの世界を作った創造神なんだそうよ。嘘か真かは知らねぇが。」

「へぇ~!よろしくね、シラリウスちゃん!」

お前…良く訳も分からない奴とすぐ打ち解けあえるな…

「それで…セリドとセン、お前の方は何か情報を得られたのか?」

「私もこっちに着いたばかりでまだ何も分かってないけど、これだけは言える。」



「この世界は決められた人間しかいない。」



「何だって…?」

そんな…まさか…

「この世界、決まった人以外に人間はいないのか…!?」

「私が最初に着いた場所は一つの村だったわ。そこには家もあったんだけど、どこの家も人がいなかった。そうやって色々探っている内に、あなたの娘さんと偶然出会ったわけ。」

なんてことだ…つまりは俺達みたいな選ばれた人間しかこの世界には存在していないとでも言うのか!?

「お、おい…これはどういうことなんだ!?」

「これはういにとっても想定外だ…本当なら人も建物も選んだ世界から切り取ってくっつけてあるはずなんだが…」

「神サマだか何だか知らねぇが、下手なこと言ってると…」

「やめてよお父さん…!」

「セリド…」

シラリウスの前に覆い被さるようにしてセリドが庇う。

「この子はまだ幼いんだよ?もし話が本当でも敵意は感じられない…私はこの子を連れていく!この世界をこの子と巡ったら何か分かるかもしれないじゃない!少しは冷静になろうよ!」

そうだった…俺はてっきり目の前のことが信じられなくて焦っていたんだ…娘の言葉で気づかされるなんて…俺もまだまだだな。

「すまない…悪かった。焦ってピリピリしてたんだ。」

「今は焦っても何も生まれない。出来るんだけこの女の子を守りながら進みましょう。」

「あぁ、そうだな。それで…誰か他に情報はあるか?」

「ラルス、これはあなた達にとっては悪い情報かもしれないけど…」

センは重い口を開くように続けて喋る。

「化け物はかなりいるみたい…」

「化け物ってまさか魔獣が!?見たのか!?」

「恐らくね…とても禍々しい生き物であったことに間違いはないわ。」

クソっ!!人間はいないのに魔獣はのさばってるなんてな…!!

「分かった。気を付けて行こう…いつまでもここで立っている訳にはいかないからな。」

「そうだね、お父さん。」

「よし、出発しよう!」


ー都市部ー


森を抜けた俺達一行は都市部へと入っていた。さっきまで完璧な自然だったのに、森を抜けた途端に都市が広がってるんだから不思議でしょうがない…

「セリド、ここって確か…」

「うん…英里華ちゃん達のいる「魔法少女の世界」だよ。この世界も切り取られてるってことは英里華ちゃん達もこっちに…」

「考えるのは後にしろ。今は手がかりになるものを探さないとな。」

人はいないが明かりは点いている。この明かりがより不気味さを醸し出していた。

「…?ラルス様、あそこに人が…」

クロウは交差点の真ん中辺りを指差した。クロウの言う通り人影が見える。

「日丸!」

「……!!」

「知り合いか?セリド?」

日丸と呼ばれる男はどうやら昔の日本に生きていた人間のようだ。

「以前「戦国の世界」へ来た時に出会ったんだよ。」

「…………」

えーと…何と言うか言葉を話さないタイプ…?

「ほんと、そういうところ相変わらずだよね、日丸。」

「……敵。」

ようやく喋ったかと思えば敵かよ。……んっ?敵!?

「キシャァァァァァ!!!」

「魔獣か!仕方ない、やるぞ!セリドはシラリウスを安全な場所に!」

「分かった!」

よし…それじゃ、コイツを倒すか!

「日丸、お前は戦えるのか?」

「………うん。」

「なら問題ねぇな。行くぞ!!」

続く。



次回のロスト・ジャッジメントは

「……斬る…!!」

「凄い強いな…アイツ。」


「ここからはまた手分けして捜索しよう。」


「ラルスさんとまた会えるなんて嬉しいです!」

次回「バレット・リベンジ」


「こんなところで会うとは、これもまた運命なのでしょうかね?」

「お前は…!?」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る