第1話 集結せし者達

「ん……」

俺が目覚めると、そこは森林の中だった。でも待てよ…俺は確か家のソファーに座ってただけなんだが…?何故急に森林へ?

「お父さん?大丈夫…?」

セリドとレイヴも同じところに?いきなりすぎて訳が分からねぇ…

「ラルス…様…?」

「何でお前までここに!?」

明らかに家にはいなかったはずのクロウまでも!?

「お父さん…何か若返ってる…?」

「えっ…?」

即座に自分の手などを見た。その瞬間、俺は当然の如く驚愕した…

「おい待てよ…俺達が若返ってるのかーーーー!?」

「確かにセリド様の言う通り、ラルス様も私も青年時代に若返ってるようですね…」

変なところに飛ばされて、挙げ句俺とクロウが若返ってるなんて正気の沙汰じゃないな…

「というかこの世界はどこなんだ…?セリド、お前は来たことあるか?」

「いや、私も知らないよ。」

「でもまずはここから出なくちゃ話にならないな。手分けして出口を探そう。この世界について何か分かったら今いる場所に集合だ。」

「分かった!」

セリドはレイヴと一緒に森林の茂みの方へと向かっていった。

「さて、俺達も行かなきゃな。」

「そう言いたいところなのですが、宛はあるのですか?」

「いや、無い。」

「無いんですか…」

でも急にこの世界へ飛ばされたとなると俺達以外にも誰かがいるはずだ。まずは人を見つけて話をしなければ…

「人を探そう。俺達が急にこの世界へと飛ばされたなら他にも同じような奴がいるはずだ。」

「そうですね。宛が無いよりも誰かと会った方が違う情報を得られる可能性もありますし。」

「よし、じゃあ行こうぜ。」

そして俺達も深い森林を抜け出すべく、歩き始めた…




「……セリド様、人影が見えます!」

「人影…?」

森林を抜け出した私とレイヴは一つの村らしき場所に出ていた。そんな中、レイヴは奇妙な人影を見つけたのだと言う。

「あーほんとだ、あのー!すみません!」

人影はこちらに気付いたのか、私達の方へと歩いて来る。

「大声を出して大丈夫なんですか?セリド様…」

「大丈夫だよ、きっと良い人に決ま……」

ササッ…!

「ってるでしょ…?」

え、何か顔近くない…?てか今一瞬でこっちに来なかった?

「えーと…お名前は…?私はセリドで、こっちがレイヴ…」

怖すぎる…何かしたら確実にヤバイ人だったかも…!?

「驚かせてごめんなさいね。私はセン。まぁ、これはあくまでコードネームなんだけど…」

「ちょっと待って…センってまさか…」

私はその名前に覚えがあった。以前に私達が行った世界で会った同じ「セン」と名乗る女の子、スズカだった。でもスズカとは似てるけど何か違うような…

「すみません、人違いだったら申し訳ないんですが、スズカという女の子に覚えはありませんか?」

「どうしてあなたが私の娘の名前を…それに、セリドって私もどこかで…」

私の娘ってまさか…お母さん!?

「思い出したわ…確かラルスの娘さんよね?」

「はい、私はラルス・マーセルの娘です。」

「やっぱりね…10年ちょっと前に赤ん坊だったあなたを見たことがあるもの。」

まさか…センさんと私が一度会ってたなんて…

「私は以前、あなたの娘さんに会って来ました。その時に娘さんからあなたの話を聞いたのです。」

「そう、スズカに会ったのね…ありがとう、セリド。」

でも普通なら私より歳を重ねているはずのセンさんも私と同じくらいに見える…お父さんやクロウと同じことがセンさんにも…?

「あの…センさん…」

「私のことはミスズで良いわ。こっちが本当の名前だから。」

「ミスズさん、あなたもこの世界に飛ばされたんですか?」

「あなたも同じみたいね。気がついたら私はここにいた…しかも若返ってるし、昔使ってた愛刀もあるからどうしたものかと。」

やっぱり…この世界は何かがおかしい…最初から「想定済み」のようなことが起こっているなんて…!

「私の父も同じことが起こっていて…何か情報を見つけるために手分けしていたんです。」

「ラルスもこっちに来ているのね。なら話は早いわ。ラルスのところへ行きましょう。」

「はい!」




「あぁーーー…どこ見ても茂みばっかだな。」

森を抜け出すとは言ったが、歩いても歩いても同じ景色しか見受けられない。

ドンッ、

「おい…何かぶつかったぞ。」

「私ではありませんよ。」

「じゃあ誰だって……っ!?」

俺達は目を見張った。俺達の進む方向に女の子がいたからだ。白いワンピースを着た女の子がさっきまで誰もいなかった道に立っている。そして女の子はこう言った…

「はじめまして、クロウ。そして…ラルス・マーセル。」

続く。



次回のロスト・ジャッジメントは

「おい…何で俺達の名前を知っている…?」

「この世界はういが作ったからだ。」


「この世界、決まった人以外に人間がいないのか…!?」

「その代わり、化け物とかは多くいるみたいね。」


「ほんと、そういうところ相変わらずだよね、日丸。」

次回「白の少女」

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