アーマーガールズ

星ぶどう

第1話メカ鎧の少女達

 アーマーガールズ。

 機械の鎧、それを装着して戦う女の子達がいた。

 アーマーガールズという彼女達は世界の平和の為に戦うのであった。

 ビル、いや街全体が紅蓮ぐれんの炎に包まれていた、瀕死の女性がの鎧をボロボロにさせて小さい女の子の手を握っていた。

 「お母さん、起きてよ。ピーマンもちゃんと食べるしおもちゃ欲しいとき一生のお願いしたりしない」

 女性は優しく聖女のように微笑みとあるペンダントを渡す。

 『これをお母さんだと思って大切にしてね』

 目を閉じようとする母に少女は目を閉じないように語りかけるかのように『お母さん』と繰り返し呼び続けた。

 その声は虚しく響きわたる。

  ★

10年が経った。

 「いっけなーい」

 とBダッシュならぬ食パンくわえダッシュの女の子が学校の制服を着ていた。その制服といえば妙にアイドルのようなチェックが所々についていて袖とスカートにヒラヒラがついている。

 ヒラヒラは紋白蝶で十分だ。

 そんな事より彼女は学校に遅れている為必死に走る事しかできない。

 テストの点が悪いので体育で補っていたので、もし遅れでもしたら消しゴム無しでテストを受けなければならないという縛りを設けられるかもしれない。

 そして彼女の首にはキラリとペンダントが光った。

 ジーザストカゲをご存知であろうか?

 このトカゲは水の上を物凄いスピードで走って行くというファンタジーなトカゲであるが彼女、烈火れつかほのかはそれとひけを取らないほどのスピードで校庭の門の前まで飛んで走って行った。

 15歳の彼女にとって元気ハツラツとしたこの動きはもはや韋駄天と並ぶほどだ。

 もうすぐ学校につくはずだった。

 ピュンとほのかの右のほっぺに何かが通りすぎ、定規で引いたような傷の線ができた。

 無意識にその頬を触ってみると中指と人差し指に血がついていてその頬の線から流れ落ちる。

 かすかに冷たい感じがしたが傷つけた者はどこにも無く誰がやったかも不明であった。

 二三歩あるいた所に何か濡れていた。

 それを見に行こうと思った瞬間ほのかは殺気を感じたのか、右に飛びその拍子に転んでしまったそのおかげで何者かの攻撃を避ける事に成功した。

 だがその謎の弾丸は転んでいるほのかを容赦なく襲った。

 『何よいったい、新手のストーカー?』と言う暇もなく飛んで来る謎の弾丸。

 防御をしなければ串刺しとなってしまう、反射的に彼女が持ち上げた物はいっつも分厚い教科書が満員電車のようにぎゅうぎゅうにつまっているギュートルズなカバン、女子高生に無くてはならないカバン、ぬいぐるみのキーホルダーがついているカバンで身体を庇った。

 ドッスという藁人形をくいでさしたような音がして恐る恐るそれを見てみるとなんと先の尖った氷だった。

 どうりで正体がつかめず水で地面が濡れていたのに納得がいった。

 「私の氷の技でビクともしないなんて」

 水色の髪の毛の見た目クゥールビューティーな眼鏡少女が立っていた、銀縁フレームの眼鏡はよく似合っていて知的な感じをさらに高めていたがその服装というかコスプレみたいな格好がすべてを台無しにしていた。

 紫の鎧のような機械のボディを身にまとい真ん中には丸くてこの世にこんな色彩を放つ色があるのかという程の光をはっする球体が張り付いている。

 まるでロボットの様だが顔や太ももなど所々に生身の人の身体が見える。

 鱗があったら半魚人みたいだからそうでなくて助かった。

 彼女はトーテムポールの様にじっと立っていたが、今度は外すまじと水色の瞳をほのかに向けてロボットのように装備した手を広げると眼鏡の奥を細めた。

 ショッと影がかけぬけたと思った瞬間、そこにいたのは先程のクゥールビューティーとは違う眩しい金色の髪をした女の子であった。

 この女の子もなんと青い髪の少女と同じような鎧を身にまとっている。

 「あなたもアーマーガールズね」

 金髪の女性がそう言うと眼鏡の女性は言うまでもないじゃないと返事のかわりに鼻をならした。

 黄色くてバレリーナの衣装を思わせる格好だがそれは布ではなく、やはりメカであった。

 彼女の鎧の真ん中にも微妙に色が違う光る球体が取り付けられていた。

 金髪の女性は右手をアトラスのように空を支えた格好をとると空中から雷がバリバリと騒がしい音をたてると彼女の手には大きな槍が出現した。

 「この攻撃を避けられるかしら? 雷神の霹靂ユピテルサンダー

叫ぶなり雷の槍が一直線に青い女の子に炸裂した。

 ところが青髪の少女は消えていた。

 まるでそこには何も無かったように。

 西部劇の藁みたいなコロコロがあってもおかしくなさそうだ。

 ほのかは腰をぬかして上目遣いで黄色い機械を纏った少女を眺めていた。

 先程の光景は本当だったのかもしかしたら自分の夢じゃないか。 だったら早く起きて学校に行かなきゃと思ったが金髪の少女は右手を差出し、『大丈夫?』とほのかを綱を引くように起こした。

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