ガールズ・オブ・タンク!~戦車娘のバトルライフ~

狼煙(アズ)

第1話 集え戦車娘

 戦いは世界から異世界へと変化した。しかし、いつになろうが戦争は変わらない。殺し合いなのだ。


「ねぇ、マウス。北の荒野からセイレーンよ」


 マウスと呼ばれた茶髪の女性は振り向いて、話しかけて来た女性に返事をした。


「ああ、分かった。私も行く。君も来たらどうだ?10式戦車ひとまる

「もちろん行くわ」


 金髪に碧眼の美しいひとまるは笑顔でそう答えた。




 そのころ、別の場所では何気ない会話がされていた。


「センチュリオンも、行こ」

「えー。私は……、やっぱり行く」


 銀髪に南国の海の様な水色の瞳のセンチュリオンは親友のB1bisビスに返事をした。その時――。


『全戦車に継ぐ。こちらはマウス。北の荒野にセイレーンが現れた。出撃命令を発令する!』


「あっちゃ~。タイミング悪いね。じゃあ出撃しようか、センチュリオン」

「ええ」


 ビスは北の方にセンチュリオンを連れて歩いて行く。ここは商店街。その奥にあるのは車庫だ。

 車庫の中に入ると、自分の戦車に乗って出撃する。

 ガタガタと揺れる戦車の中でセンチュリオンはブラックコーヒーを口に含み――吐き出した。


「にっがぁ~」

「にゃはは!無理するんじゃないミャ!」


 隣を走るⅢ号突撃砲F型エフがそう言った。顔を真っ赤にしたセンチュリオンはミルクと角砂糖三つを入れて、甘いコーヒーミルクとなった物を飲み干す。


「うっさいぞ!これでも私は強いんだからなぁ!」

「にゃっははははは!」

「むっき~!」

「エフだって金に釣られて売春したくせに!」


 秘密にしていたことを叫ばれ、エフは顔を紅潮させた。


「うっさいミャ!金は正義ミャ!」

「ふっふ~ん」

『セイレーンが見えたぞ』


 その声にはっと我に返った二人は叫んだ。


「Ⅲ号突撃砲F型!」

「センチュリオン!」

「「アブソリュート・リリース!」」


 戦車は丸い光となって姿を消し、その中から現れたセンチュリオン、エフに装着する。足にはキャタピラ、背中から右に延びる銃砲、左に伸びる機関銃が派手に目立つ。これが人間に与えられたセイレーンに抗う力。戦車娘である。

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