第12話結婚
俺は、二十歳になった。さなえちゃんと一緒に暮らしていると、時間が思ったより早くに進んだように感じた。
喫茶店で、俺の誕生日パーティーをした。パーティーには、俺のじいちゃんとばあちゃんとさなえちゃんとさなえちゃんのご両親と隼咲が参加してくれた。
さなえちゃんが誕生日パーティーをしようと言ってくれたけど、最初はしなくていいと断った。
その後、さなえちゃんがじいちゃん達に話をして、みんなにやろうと言われ、俺は断れなくなった。
本当は、誕生日パーティーをしてくれると聞いて、嬉しかった。
でも、なぜか断ってしまった。
たぶんそれは、昔から誕生日を祝われるのが、あと何回で死ぬとか、これが最期かもしれない、俺を捨てた親だった人のことしか、考えられない子どもだった。
けれど、今は違う。俺は、二十歳の大人で、さなえちゃんと一緒に生きた時に変わった。
自分自身でやっと自分の生まれた日を喜べる。
そう、思えるようになった。さなえちゃんと出会って一年たったときは、少しバタバタしてたからしなくてすんだ。
今年こそはってみんなが張り切っていた。そのかいがあってかとても楽しい 一時を過ごした。
そして、結婚するんだ。パーティーが、終わりをむかえた。
みんなには、帰ってもらった。さなえちゃんだけ、内緒にしていたことがあるからだ。
サプライズで、用意していたもとがある。
「さなえちゃん、来て」
「うん、いいよ」
俺は、さなえちゃんとあの席に座った。
「何だか、この席に座ると思い出すね」
「どんなのこと?」
「それはね。遼さんが倒れて驚いたこととかね、遼さんが、あの事で気まずくなってわざと仕事を休んで寂しかったこと、それと遼さんが・・・」
「も、もういい・・・それ以上いいから」
「聞かれたから、答えたのに。そんなに慌てなくっていいのに。じゃあ、遼さんは?」
「俺はね、隼咲とさなえちゃんが兄妹だったってことに驚いたよ」
「そうだね。まさか、隼兄と遼さんが親友だったなんて。私も驚いたよ。でも、なんとなくは、遼さんも気づいてたでしょ?」
「うん、なんとなくは」
「他には?」
「さなえちゃんと初めて出逢ってどんどん好きになって恋をしたことかな」
「えっ」
「さなえちゃん、俺と結婚して一緒にどこまでも生きてくれませんか?」
「はい!よろしくお願いします!」
さなえちゃんは、泣きながら俺が彼女に贈った指輪を受け取って指にはめてくれた。
『一緒にどこまでも生きていく』と、いう言葉は、俺とさなえちゃんにとってのとても大切な言葉だ。
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