第6話俺について

俺について。


 俺の母親も体が弱く、俺を生んで死んだ。


 父親は、俺の母親を、自分の奥さんを溺愛してた。


 だから、自分の奥さんが死んだのがシックだった。俺を育てる自信がなく、母方のじいちゃん達に預けた。


 本当は、父親に捨てられたと思った。だって、父親の写真を一度も見ていない。俺を預けたあと、会っていないし、行方が分からないから。


 じいちゃん達には、本当に感謝してる。病気がちな俺に、家族のぬくもりを教えくれた。


 体が弱いを理由にして何もしない、出来ないを言い訳をしてはいけないと教えくれた。


 人は、一人では、生きていないから、周りに助けられながら生きていく。


 自分が助けられたら、今度は、自分が助ける。


 人としてどうあるべきかを教えくれた。


 俺のじいちゃん達は、元々喫茶店を営んでいて、よくお手伝いをさせてくれた。人との交流をして欲しいと、じいちゃんが考えたからだ。


 俺は、よく入退院を繰り返していて、あまり学校に行けてなかった。小学校の時に、クラスの男子に、俺の家庭環境や病気のことを馬鹿にされた。


 そいつらが、いうには、


「お前は、父親に、捨てられたんだ」


「お前の母親が死んだんだのは、お前のせいだ」


「その罰でお前は体が弱いんだ」


 と、好き勝手に言われてた。


 つらかった。何で、言われるのが意味が分からなかった。


 そして、自分も思っていることも言われたからだ。


 じいちゃんが、泣いて帰った俺の話を聞くとこう言った。


「だからって、それがどうした?お前は、悪くないんだよ。お母さんとお父さんがいなくても、じいちゃんとばあちゃんがいるんだ。それじゃ、ダメなのかい?」


「ううん。そんなことない。俺は、じいちゃんとばあちゃんがいい」


 じいちゃんは、嬉しそうな顔をした。


「また言われたら、じいちゃんに言いなさい。じいちゃんが、怒ってやるからな」


「分かった。ありがとう、じいちゃん!」


 次の日になると、悪口を言った男子が謝って来た。


 どうやら、後で先生と俺のことを心配してくれた男子がそいつらを怒ってくれたらしい。


 その男子がその後の俺の唯一の心友の《しゅんさく》だ。その日をきっかけに友達ができた。


 中学校になっても、隼咲は、仲良くしてくれた。隼咲は、過保護な気がする。


 俺は、高校に進学しなかった。よく入退院を繰り返していてから、勉強に追い付けなかったのと、じいちゃん達に、これ以上苦労かけたくなかった。


 高校を行かないと決めたときに、じいちゃんは


「高校に進学しないのだったら、店で働きなさい。他の子達も高校にいかないのなら、働いているから、遼もそうしなさい。体に無理がない程度で構わないからね」


 その約束のもと、俺はここで働いているわけだ。


 今でも、隼咲と会っている。


 隼咲にもまだいっていない。俺がもうすぐ逝ってしまうことを。

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