ヴァーチャルベースボール~最弱チームで下克上~
筆箱鉛筆
プロローグ
将来有望という言葉は、その後破滅する人間にこそ付けられる。
どんなに才能にあふれていても、成功するかどうかなんて誰にも分らない。
天才が様々な要因で挫折し、ドロップアウトすることは世の常だ。
俺の名前は
物心ついた時、テレビ中継されているプロ野球の試合を見たことがきっかけで野球を始めた。中学高校と必死に練習し、チームのエースとしてプレイしたが甲子園には出られず、指名もされなかった。
だが、俺はあきらめなかった。
その結果、推薦で野手として大学に進学し野球を続ける。そこで体の成長と今までの努力がシンクロし、一気に才能が開花。
1年でレギュラーを掴み、2年にして大学野球リーグ三冠王。6大学野球のスターとしてプロ注目のドラフト候補にまで成長した。
順調にいけば、プロ野球から指名間違いなしの選手になった俺を、メディアや周りは大きく取り上げ、ドラフト雑誌やネットでも俺の名前が取り上げられた。将来有望、成功間違いなしの選手として。
しかし、それはあっけなく終わった。単純な話で、この世界じゃあまりにもよく聞く原因。怪我だ。
プレー中のアクシデントで選手と交錯。その際、脚の靭帯を断裂、同時に膝の半月板と腕の肘を骨折。
以前のようなプレーをできなくなった俺に周りは一瞬で興味をなくしていった。
当然、推薦で入学した俺は退部。免除されていた授業料諸々の特権もなくなり、大学にいることはできなくなった。
そうして俺は今大学中退の無職フリーターとして格安アパートで暮らしている。
夢を追い、そしてあっけなく敗れた事に堪えて、流されるようにここにたどり着いてしまった。
毎日バイトをし、目標もなく生活する毎日。
そんな中、ふと目に入ったゲーム。それは今流行りのVRMMOゲームというやつで、野球を題材としたものだった。常に現実の野球しか興味がなかった俺だが、タイトルは聞いたことがあったくらいには有名で、確か相当に売れていた筈だ。
今までの俺なら、目に留まることすらなかった。だが今の俺にとって、たとえ仮想現実でも、野球をしている姿がとても羨ましく思えた。だからだろう、俺はそのパッケージを手に取った。
『ようこそ! NewBaseballOnlineの世界へ!』
そして今、俺はその世界に足を踏み入れる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます