あなたと合体したい
聖剣アランサーがその秘めたる力を解放し、押し寄せるゴーマ軍を壊滅せしめた一昨日の会戦。その時にあって、今ないもの。
俺はそれに気付いてしまった。しかし、まさか、そんなことは。
だが、もう考えるだけの猶予は残されていないのだ。ダメで元々、試してみるしかない!
俺は急いでズボンのチャックを下ろし、エリウの戦闘着のスカートをめくり上げた。脳内には、数年前に某二世タレントが出演したアクエリオンのCMのあの台詞と、一万二千年前がどうのこうのというあの有名な曲のサビが流れている。
さて、運営からの警告を回避するため今起こっている事象をガンダムに喩えて説明すると、燃え上がれガンダム状態の俺のコアファイターがエリウのボトムパーツとドッキング!
ここまで来てどうしてマクロスに例えないのかって? バルキリーは合体しないからだよ!
「おい貴様、エリウ様に何をやっている!」
エリウの声の変化に気付いたラスターグ王子がこちらを振り向き声を荒げるが、手足を撃ち抜かれた王子は動くことができない。
俺たちを包囲し矢をつがえていた弓騎兵たちは、目の前で繰り広げられる禁断のエリクシアに呆気に取られ、完全に手が止まっていた。
そして次の瞬間、聖剣アランサーが突如として眩い光を放ち始め、エリウの手の中でガタガタと激しく震え始める。
「あっ、あっ、救世主さま、これは……!」
「やっぱりこれか! ハハハハハ! ビンゴだぜ!」
異変に気付いた弓騎兵たちが慌てて矢をつがえ直す。だが、その矢が放たれるよりわずかに早く、地面に突き立てられたアランサーが本来の力を解き放った。
メリメリバリバリと凄まじい音を立てて大地が裂けてゆく。
音に怯えた弓騎兵たちの馬が一斉に立ち上がり、騎乗者を振り落として逃げていった。
大地の裂け目に沿って伸びる白い光は包囲するゴーマ兵たちを次々と飲みこみ、深い地の底へと引きずり込んでゆく。
その威力は一昨日の会戦時よりもさらに強く、亀裂の線上にあったカムロヌムの街の民家も数軒巻き込んでしまった。許せ愚民共! エリウの手が滑った!
僅かに残ったゴーマ兵たちも、目の前に広がる惨状に恐れをなし、蜘蛛の子を散らしたように逃げ惑ってゆく。
「アッ、アッ、アッ、アランサーの、力が……解き放たれて……」
勝利の余韻と快感の中で、俺とエリウは同時に果てた。
こうして、救世主たる俺の天才的な閃きによって聖剣アランサーの力は完全に解放され、サンガリアの民はカムロヌムの町を一夜にして奪還せしめたのであった。
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