第14話 戦争経験者の戦い方

「・・・戦争経験者!」

「ああ。一応そこで生き残ってるからねぇ」


法剣戦争。15年前まで続いたギルシュ帝国と隣国のトラカニアの戦争。両国多大な犠牲を出し、結局和解するという、最悪の結果で終わった。

『なんのために父は』

『我々の手足を返せ』

『何故戦ったんだ』

怨嗟の声が王の城を囲んだらしい。


「まあ五体満足で帰ってこれたんだからいいだろ」

「・・・こっわ」

「おい今なんつった」

「・・・何も」

「まあいいや、じゃあ始めるぞ」

「おう!お願いします!」

「あと先に言っとくと、私魔術師だから。属性は熱だよ」

「・・・え、剣士じゃないの?」

名前からてっきり剣士だと思い込んでいたキバ。

「それ、俺も最初びっくりしたぞ」

「カイン、お前同志か・・・」

「おい、始めるぞ」



「はい、始め~!」

ナギの合図でスタート。

「じゃあ、

「何?もうご飯?」

軽口をたたいていると、虚空から右手と左手、一セットが現われる。

「え・・・両手?」

「これが私の自呪、<操手そうしゅ>。屍の手を操れるんだ」

「なにそれ最強じゃね?」


解説、<操手>。

屍の手を操れる。何人分かは自分で操作可能。魔法の触媒や、物を掴むことができる。しかし、操作する個数が増えれば増えるほど操作には集中が必要となり、何十人分の触媒を要する魔術になると極限の集中が必要。また、使うたびに筋肉痛が襲うので注意が必要な技だ。


「ほれほれ、熱風だぞ~」

「何すんだこのクソ野郎!」

一人分だからまだ集中はそこまで必要としない。しかし、これほどまでの精度で魔術を放てるのは異常だ。

「あ、があ!?」

脇腹を焼き焦がされる。すぐに再生で治るには治るが、魔力も呪力ももたない戦いになる予感がする。

「ぼさっとしてるからだよ・・・」

「ど畜生こんな手撃墜してやる!」

苦し紛れにド畜生とか叫びながら剣を振る。まるで蝶を捕まえに来た少年のように、全力でブンブンと剣を振る。

無闇矢鱈に剣を振る日々が1ヶ月続いた。





「よし、完成に近づいてきた・・・」

深夜のキバの部屋。靴底を開き、何かを仕込む。

暗い部屋の中、ランタンの光だけで分かる程の笑顔で、キバは宣言する。

「これで、ツルギのあれを墜とせる・・・」

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