第10話 袋小路で二十周目



 で、シスカの知人と一緒くたになって逃げ惑ったんだが。

 さっそく俺は、死にまくった。

 たぶん俺だけ、死にまくった。


 逃げ込んだ路地裏がいけないんだ。


 どこもかしこも、迷路みたいで、行先ぜんぶ袋小路。

 行き止まりの壁ばっか。


 追手に追いつかれて、魔法であぶられたりきられたりしてるうちに、二十周もしちまったよ!


「次はあっちだ!」


 というわけで、その経験を活かして、二人をナビゲート。

 こういうのは、新入りさんの役目とかじゃないの?

 土地勘あって、大活躍!

 とかそう言う流れでしょ。


 死ぬ事しか能がない男に頼っちゃアカン!


 後にそれを尋ねれば新入りさんは方向音痴だったとかいうオチ!


 個性的なヒロイン。

 いるよね!

 実際に関わるとなると大変だけど!


「あー、次はこっち? 向こうは袋小路な」


 そんなわけでもやもやしながら道案内してると、シスカから疑問の声。


「道、分かるの?」

「20人の俺の犠牲によって、脳内地図が完成したのです」

「?」


 まあ、そういう事なので、道覚えて逃げる選択肢があったのがまだ救い。


 戦闘するしかない状況だったら、俺は無能だからね。


 袋小路にいきつく道をさけて、逃避行を重ねた俺は逃走マスターと化した。


 で、曲がりくねった角をいかして追っ手をまき、安全を確保。


 人目に付かない場所で、息を整えた時、質問タイムだ。


「さあ、教えてもらおうか。シスカの知人さんよ。何であんなのに追いかけられてたんだ?」


 どうでもい理由だったら、女でもぶっとばすぞ。


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