第2話 『私の初めてを奪った責任とってね』

クリスティーナのとろける様な唇の感覚に頭の仲が真っ白になってゆくよう。

頬に当たるクリスティーナの吐息が・・・


『熱い・・・』


今までこんな素振りさえしていなかったのに・・


『何が・・・あった・・・』


夢なら・・


『このまま永遠に覚めないで・・欲しい』


永遠・・



永遠なんてない・・・


今・・

感じているクリスティーナのくちびるの柔らかさ・・

熱い吐息

甘~いクリスティーナの香り

此れは・・


『全部現実』


一分・・


一秒でも長く感じていたい・・


そう思い

クリスティーナの体をギュッと抱きしめる


『柔らかい・・・』


そんなクリスティーナのくちびるの感覚が徐々に離れてゆく・・

そして首に巻きつけていた腕を解き、俺の頬にそっと両手を添えて俺の顔を見つめてくるクリスティーナ


そんなクリスティーナの顔は



『妖精のようにすごく・・・綺麗』


思わず


「綺麗だ・・・」


と呟いてしまってた俺。


そんな俺の言葉に

「バカ!!面と向かってそんな言葉言われると恥ずかしいじゃない。でも・・・嬉しい」

と言いながら見つめてくるクリスティーナ


こ・・

コレが噂の・・ツンデレというやつか・・・

そんな俺にクリスティーナは俺の心を激震させるような途轍もなくデカイ爆弾を投下してくる。


俺の瞳を真剣に覗き込みながら真っ赤に熟したリンゴのように顔を真っ赤に染めながら

「わ・・わたしの・・・私の初めてを奪った責任とってね」


と超~特大爆弾を落とし満面の笑顔で俺のくちびるにクリスティーナのくちびるを重ねてきた。


平静を装いながらも、心の中は大荒れに荒れている。

『私の初めてを奪ったって記憶にねえ~~!!』


『なんて事したんだ~~俺~~~!!』


一つだけ心当たりがある!!

俺は極度の低血圧症なのだ。

特に寝起きが一番悪い


多分俺が眠気に負けて眠って起きた時・・・

その症状が出たのだろう。


俺は低血圧症の影響で起きだちは記憶がない!!

その虚ろな時間に別の人格が出てきてしまうみたいで、相当ハイな感じで流暢に話して女の子も巧みに口説いてしまっているらしい・・・


運動場で手を振ってくれたクリスティーナは俺を心配して生徒会室に上がってきてくれたんだろう。

俺はその時寝落ちしていた・・・

そしてそんな俺にクリスティーナは声を掛けたんだろうな


クリスティーナに声を掛けられて起きた俺は、別人格が発現し巧みに口説いて、クリスティーナの初めてを奪ってしまったのか?


俺が握っている純白の可愛いショーツは・・・俺が脱がしてクリスティーナの初めてを奪った証!!


『うをぉ~~』


俺・・・俺・・避妊なんてしてねえ~~~!!


ヤバイんじゃ?



『出来ちゃったりするんじゃ?』




『ウヲォ~~何してくれちゃってるのもう一人の俺~~』

クソ~~クリスティーナとの初体験を覚えていないなんて超~~悔しいぞ!!

いい所だけ持って行きやがって!!


しかし・・


どっちにしても覚悟を決めるしかない!!

記憶に無いとしても俺の行動の結果だ!!


もし出来ちゃってたら・・

「来年は俺がパパ・・か~~」


俺は覚悟を決めて・・

キスをしてきているクリスティーナの体をゆっくりと放し、クリスティーナの透き通るような青い瞳を見つめながら


「責任は取るよ!!結婚を前提に付き合って欲しい」


と真剣な表情でクリスティーナにお願い

だって

『記憶が無いとはいえ、クリスティーナの初めてを奪っちゃったんだ』

誠意は見せないとな!!


そんなクリスティーナは顔を真っ赤に染めたまま俺を見つめて

「良い・・よぉ・・改めて言われると・・・凄く恥ずかしい・・ね」

そう言った途端に俺の胸に一気に顔を埋めてしまった・・


うをぉ~~

何なんだ~そのリアクション!!

萌え死にしそう~~


「ふふっ」


突然俺の胸に顔を埋めているクリスティーナがそんな笑い声をあげる

何なんだよ急に笑って

『何があった?』

クリスティーナとの間に此処で何があったのか解らない俺は内心冷や汗の連続なんだ!!

『今度は何を言われるんだ?』


そう思うと戦々恐々の気分

「急に笑ってどうした?」

と俺が聞くと

「えへへっ、伊織の心臓の音が『ドクン』『ドクン』って凄く激しく鼓動してる。緊張してるのかなって思うとおかしくなっちゃった」


俺の心臓の鼓動の音を聞いて笑ってたのか・・

超~恥かしいぞ!!

「そりゃ~す・・好きな人をこんな風に抱き締めてるんだ。そんな風にもなるだろ!!」

「隠さないんだ?」

「隠しても解るだろ?」


俺がそう言うと


『コクッ』



っと頭で小さく頷いてくるクリスティーナ

クリスティーナはそれから、俺の胸に耳を当てたまま無言で俺の心臓の音を聞いている。


う・・

静かすぎる!!

クリスティーナ何か言ってくれよ!!

クリスティーナがそうやって顔を俺の胸につけてるだけで

俺の心臓は


『ゴン』


『ゴン』


『ゴン』


『ゴン』


『ゴン』


『ゴン』


・・・

って感じで壊れかけのエンジンみたく激しく俺の胸を撃つ

『本当に爆発して壊れてしまいそうだ・・・痛い』


静かだ!!

静かすぎる!!


意識しちゃいけない!!

これ以上意識するとおかしくなってしまいそうだ・・

そう思い外のキャンプファイヤーの炎の周りで青春を謳歌する男女に視線を移す

段々と落ち着いてくる心臓の音・・


窓から入ってくる風が気持ちいい


ふと・・

誰かに見られているような視線に気がついてクリスティーナに視線を移すと、何時の間にか俺の事を見つめていたクリスティーナ


一瞬で顔を真っ赤に染めながらも


「あのね・・・」


と言いかけて言いかけた言葉を止めてしまってる

何か言いたいのかな?

「どうしたクリス・・・・」

と俺も言いかけて、クリスティーナの可愛い顔に見蕩れてしまい、最後まで喋る事が出来なかったのだ。

『情けねえ~~・・』


「クリス・・・良いよ。これから私の事、クリスって呼んで、私は貴方の事、伊織って呼ぶから」

「お・・おう・・」

クリスティーナのそんな言葉に思わずぶっきらぼうに答えてしまう俺

でも内心ドキドキだ!!

それを悟られないように

「クリス・・・あのね・・って言いかけたけど俺に何か言いたい事があったんじゃ?」


とすんなりと、クリスと呼びながら確信を聞いてみる。

すると

「あ・・あのね・・明日は文化祭の片付けで学校お昼までじゃない?だから・・だから学校引けたらお昼からデートして欲しいんだけど・・・ダメかな?いおりんの姿で・・・・」


と両手を胸の前に合わせてお祈りポーズでうるうる瞳でお願いしてくるクリス

「デートは良いけど・・・いおりんの姿でってメイド服でって事?」


そう

『いおりん』


今回1年A組み模擬店は・・


『男の娘・メイド喫茶』


を展開していたのだ!!

そしてこの2日間その中で俺はメイド服を着て『いおりん』として接客していたのだ・・・

しかし!!

大変だった!!


『名前教えて』

『LINE交換しよ』

『携帯番号教えて』

『付き合って欲しい』



・・・


『etc・・』


くっそ!!

今回の文化祭、文化祭実行委員にされるは、文化祭実行委員の会合に出ている間にメイド喫茶要員に組み込まれてるは・・・


おまけに、急遽

『お好きなメイドをご指名チェキ撮影券 一枚 500円』

なるものまで発売しやがって嵌められてしまったぜ!!


チェキご指名ダントツ1位なる不名誉な実績を作っちまった

『お前ら、こんなまがい物の女で満足するんじゃねえ!!』

って叫びたい心境だぜ


まさか、俺の写真・・・夜のおかずに・・・されてるんじゃないだとうな・・

想像してしまうと鳥肌が立ってくるぜ


「ちょっと言葉が足りなかったわ。メイド喫茶でしてたみたいに女の子の格好でデートして欲しい。もちろん服はメイド服じゃなくって私の服で・・・


いおりんになった伊織凄く可愛かってびっくりしちゃった

女の子の姿をしたいおりんあんなに綺麗だとは思わなかったよ

近くで居たかったけど、この2日いおりんの人気が凄くて近寄る事も出来なかったんだよね。まだ皆に付き合ってるの知られるのは恥ずかしいから・・・女の子どうしの姿で一緒に街を歩いてみたいなって・・・ダメかな?」


そんな風に言ってくるクリスは凄く魅力的

そんなクリスにお願いされて断る勇気なんて・・・ある訳ないチキン野郎の俺


「ああ~良いぞ。俺はもうお前のもんだからな。そんかわり化粧や服はクリスお願いなそっち系は俺は全くダメだからな」

「うふっ。いおりんは私の物なんだ~じゃ~一生離さないよ!!浮気なんかしたら刺しちゃうから覚悟してね」


『うをぉ~めちゃめちゃ痛い彼女じゃん!!実はクリスってめちゃめちゃ嫉妬深い?他の女の子に話しかけられただけで睨まれそう・・・だな。気を付けないと・・』


でもどうなっちゃうんだ?俺とんでもない方向に行ってる気がするんだけど・・気のせいか?


外を見ると、今さっきまで明るかった外の景色は何時の間にか夕日が沈んで暗くなりかけている。

「クリスそろそろ最後の見回りと片付けに行ってみないか?」

「そう・・だよね。今さっき凄い体験しちゃったから何か体がふわふわしてるの。立てるかな?」

ってクリスは不安そうに呟いてくる

「じゃ~ゆっくり立たせるから良いか?」

「うん」

「じゃ~立たせるぞ」

と言ってお姫様抱っこしたクリスを立たせ


「ゆっくりと手を離すからな」

「うん良いよ」

その言葉に少しづつ支えていた手を話してゆく


「あっ・・」

一瞬フラッとしたアリスだったけれど、少し支えてあげると持ち直したみたいだ。

『もう一人の俺!!~~いったいクリスに何したんだ~~』

そんな俺の心境も知らずにクリスは


「じゃ~いこっか」

と言った後、満面の笑顔を向けて俺の横にすりよって手を繋いできた・・


俺の人生初の


『恋人繋ぎ・・』



つづく・・・

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