第6話 幼馴染のクリスマス(下)

※※※


ガチャッ、キィーーー


しばらく眠っていると、何かの物音で目が覚めた。

なんだ?

飛び起きて窓の方を見ると……

「⁉︎……ホッホッホッ、メリークリスマス」

「……何やってんだ?るぅ」

我が幼馴染の姿が。


「わ、わしはサンタクロースじゃよ」

「5歳の時にサンタの正体を知ってしまい、自分だけサンタからのプレゼントを貰えなくなったからといって、俺に本当はサンタがいないって言ったのはどこの誰だっけ?」

「ごめんなさい」

あれは酷かった。

当時、サンタの正体に気づいたらプレゼントをやめるという方針だった俺達の家。

別に流季が気づいたところで俺には関係ないのだが、なんかばらされた。

多分言われなかったらあと2年くらいは気づいていなかっただろう。

最後のプレゼントはロボットのおもちゃだった。


「で、本当にどうしたんだ?」

「えぇっと……はい、これ」

箱を渡された。

「?これは……?」

中身はマフラーだった。

「実はね……前から編んでたんだけど、ギリギリ間に合いそうになかったから……」

それならばと、サンタのプレゼント風にして俺を驚かそうとしたらしい。

はぁ……。

「あのなぁ、これを本当にサンタからのプレゼントだと勘違いしたらどうするつもりだったんだよ」

せっかく作ったのが……

「その時は『まだサンタを信じてるんだ!』って思いっきり笑うよ」

こいつぅ!

「まぁ、とにかく、ありがとうな」

「へへっ、どういたしまして」


「あぁ、じゃあ朝の現金は返しとくか」

「あ、それは私のお菓子代だって、お母さんが」

………



「ふぅ〜疲れたぁ」

用が済んで俺のベッドに横になる流季

「おい……家に帰ってから寝ろよ」

「え〜〜」

俺も眠いのに。

まだ2時間くらいしか寝てねぇ。

「そうだ〜サンタさんからのプレゼントだよ〜」

「もうマフラーもらったろ」

「腕枕〜」

「うわっ」

強制的にベッドに引きずり込まれて腕枕のプレゼント。

「うわ〜重い〜……」

「そりゃそうだろ……」

「おやすみ……」

はぁ……、まったく………。

あぁ眠い。

ダメだ、俺も眠ってしまう。

ここで寝たらダメなことくらいは知っている。

しかし……ねむ……。


※※※


朝。

予想通り、俺は床で目を覚ました。

はぁ、やっぱり流季につき落とされたか。

隣を見ると流季もいた。

一緒に落ちたのかよ。

まだ腕枕を継続しているのは何かの執念なのか。

「おい、るぅ」

「朝は、エッグ…ベネジクド」

どんな寝言だよ。

それにエッグベネジクドじゃなくてエッグベネディクトだろ。

「昼は、こっそり、ステーキ」

こっそりってなんだ。

「夜は………無し」

バレた!

こっそりステーキ食べたのがバレて、夕飯無しになった!

はぁ………というかこれはもう起きてるな。

流季の額に人差し指をゆっくり近づけていく。

「ひゃっ!」

目を開けた。

どうも流季はこれが苦手らしい。

「ひどい!」

「ベッドから落とされた俺もひどい」

「ありゃ?」



「あ、ぬうあぁ!」

「どうした、るぅ」

「腕が……ピクリともしない……!」

腕枕してたんだから、そりゃそうだろ。

俺たちのクリスマスはこうして過ぎていった。

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