ぼくは勘が鋭い
いざよい ふたばりー
ぼくは勘が鋭い
ぼくは勘が鋭い。
いつからだっけ。多分赤ちゃんの頃からだ。
両親は共働きだから託児所に預けられていたけれど、両親とも、残業なんかでお迎えに来る時間はまちまちで、それでもそろそろ来るなって感じて出入り口に向かっていたら、ちょうど迎えが来てたから、よくわかったねーって言われてた。
あれはそう、保育園での事だったかな。
あの頃も、そろそろお迎えが来るなーって感じたら遊んでいたおもちゃを片付けて、ちょうど片付け終わったあたりでお迎えがくるもんだから、よくわかるねーえらいねーって言われてたっけ。
いつも、どんな時も、誰か来るなって、そろそろ迎えに来るなって時は、ちょうどいい時間を見計らって片付けをしたり、バスや電車が遅れる時でさえ、ちょうどいい時間に乗ることが出来る。
そう、ぼくは勘が鋭い。
そろそろお迎えが来るなーってわかるんだ。
お母さんはそんな事言わないでって泣いてるけど、
ぼくは赤ちゃんの頃から勘が鋭かったんだ。
最初は小さな違和感だったけど、何となく、いつ頃かもわかってた。
だから大切なおもちゃは大切なお友達あげたし、いらないものは処分した。本や映画も観たいものは観終わっている。
そろそろ頃合いだ。お母さん、お父さん。大好きだよ。
ありがとう。
ほら、そう言うと、お母さんがひとしきりありがとう、ごめんねって泣いて。
ぼくは、ぼくの方こそありがとう、ごめんねって。
そう言い終わると、お迎えがきて、ぼくの目の前は真っ暗になった。
ぼくは勘が鋭い いざよい ふたばりー @izayoi_futabariy
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