銀雪話
@bokuteki
第1話 出発
実家にいた僕は、庭にとまっている1台の車を目にした。小さな車で運転席には女性が乗っていた。僕より5歳ぐらい年上だろうか。僕は激しく彼女に惹かれた。助手席に乗り、シートベルトをしめた。彼女は車を走らせた。上手な運転ではないが決して嫌な運転ではなかった。それは彼女の性格をそのまま表しているようで。
僕は彼女の顔も名前も知らない。持っていた携帯電話には家族からのメールが届く。僕はそれに返信し、気がつくと駅の構内にいた。彼女は先に進んでいた。僕は、彼女を見失わないように必死に追いかけた。改札を抜けホームへと下っていく。ICカードには280円しか入っていなかったが、そんなことはどうでも良い。彼女さえいれば。僕はどうしようもないほど彼女に惹かれていた。僕は駅のホームで佇む彼女に追いつき、胸が安堵で満たされた。ホームからは電車と蒸気機関車が融合したような煙突がある薄い桃色の列車が発進していた。彼女は次の列車に乗るのだろう。
僕はなぜ彼女をそんなに好きなのだろう。
僕はきっと彼女の家に行くだろう。そこで彼女とゆっくり語り合う。お互いの人生について。時間はたっぷりある。僕は携帯電話の電源を切り、捨てた。僕は彼女と生きていく。その決意のようなものかもしれない。
銀雪話 @bokuteki
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