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スーパーセブン160のリアは、ドラムブレーキ。放熱性が悪いためすぐに熱ダレしてしまうが、摩擦部分の接触面積が広いので、初期の制動力はディスクブレーキより優れているのだ。俺と同じように早めに決着を付けるタイプのヤツにとっては好都合なのだろう。だが、ここまで長引くとなると、ヤツのリアブレーキはもうかなりフェードしているはず。だからサイドブレーキターンが今ひとつ決まらなくなっているのだ。
カプチーノは4輪ディスクブレーキ。ドラムブレーキに比べれば対フェード性は高い。というわけで、ここぞとばかりに俺はタイトターンを繰り出しまくり、ヤツから何度もヒットを奪うことに成功していた。
だが、俺の方にも懸念があった。
リアタイヤだ。いつもならこんな長時間戦わなくても決着が付いていたのであまり気にしていなかったが、ここまで何度もサイドブレーキターンを繰り返していると、タイヤの負担もかなりのものになる。しかも、車重が重いこちらの方がタイヤの負担は大きいのだ。戦闘終了までもつのだろうか。
残り時間、十秒。
ダメージは、こちらが98%、向こうが96%。このまま終了したら、確実に負ける。
幸い、今は俺がヤツの後ろに付いている。回避しようとヤツがターンするが、角度が緩い。これが最後のチャンスだ。俺は渾身のサイドブレーキターンを繰り出す。
だが。
ヤツはそのままフル加速して回避する。加速力はやはりヤツの方が上だった。
ダメだ。
ヤツのセンサーにガンを向けるだけのヨー(水平回転)が足りない。ヒットは無理だ。
負けた……
と、思った、その時だった。
「!」
いきなりリアがスライドする。想定外のヨーが発生して、ビームがヤツのセンサーにヒット。ヤツのダメージが100%に。
「やった!」
俺が声を上げたのと戦闘終了のサイレンが鳴ったのは、同時だった。
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