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 というわけで、俺は久里原が用意したクルマに乗り、プライヴェーターとしてLVSに参戦することになった。


 しかし……


「なあ、ほんとにこれで戦うのか?」


 久里原の店のサービスピットの前で、俺は呆れ顔でヤツに言う。しかし、ヤツは全く意に介した様子もなく、さも当然、といった顔でうなずく。


「ああ。LVSはとにかく小さくて軽いクルマが有利なんだ」


 ……。


 今、俺たちの前にあるのは、シルバーボディのやたら小さなオープンカーだった。


 スズキ・カプチーノ。


 もうとっくの昔に製造中止になっている、軽のFRスポーツカー。


「ほんとはF6Aエンジンの初期型の方がトルクが出てんだが」久里原が言う。「さすがに程度のいい個体がなくてな。これはK6Aエンジンの最終モデルだ。一応オーバーホールしてタービンはハイレスポンスタイプに交換してある。マフラーとエアクリもスポーツタイプにしたし、ECU(エンジンコントロールユニット)もフルコン入れてセッティングし直した。これで80馬力は余裕で出るぞ。ミッションはクロスレシオに組み直したし、リアデフはノンスリップ、足回りはジムカーナ仕様に締め上げた。ブレーキは前後ともキャリパーもパッドもアフターマーケット物に交換。ボンネットはカーボンファイバーだ。本体より改造費の方がよっぽど高かったよ」


 ……うーむ。


 とりあえず、ボンネットの上にでかでかと貼ってあるアニメキャラの超巨大ステッカーは、剥がさせてもらうからな……


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