第8話 ユウキ

 ユウキの実家はお通夜の真っ最中だ。



 門の外ではユウキのファンも列を成して泣きじゃくっていた。



 俺たちは喪主であるユウキの母親に挨拶をした。


 かなり母親も衰弱しているようだ。しかし喪主として気丈に振る舞っていた。


「このたびは御愁傷様です……

 こんなカッコで申し訳ありません」


「い、いえ、構いませんよ……

 あなたがシンゴさんですねぇ」

「ええ、何度か、こちらへもお邪魔しました」



「あ、良かったら、あの子の使っていたギターを貰って戴けませんか……」



「え、でも遺品でしょう」


「いいえ、あなたに使って戴いた方があの子もよろこぶと……」


「はァ、それと…… 電話でお話しした」


「あ、ああ、わかりました。遺書ですね」

 母親の用意した遺書を受け取り文面を読んでみた。



「こ、これは……❓❓」

 『ラストソングは届かない』と言う題名タイトルだ。



「ン、遺書と言うより…… 作詞じゃ」

「ええ、やはりそうでしょうか」

 母親も自殺を疑っているようだ。


「オバさん。できれば俺に…… ジックリとユウキの事を調べさせて下さい❗❗」


「ええ…… 宜しくお願いします」

 深々と母親は頭を下げた。




 帰り際、ユウキの母親から声をかけた。

「良かったら…… これも調べて下さい」

 ユウキの遺品のノートパソコンだ。



「ハイ、預かります」

 母親からノートパソコンを託された。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る