第2話 初恋

今から29年前、私は中学二年で世間ではビーバップハイスクールや湘南爆走族といった古言い方で言えばヤンキーが流行った時である。そういう私も短ランにボンタンといった服装で堂々と単車で当校していた。

しかし皆と違っていたのは周りがみなリーゼントなのに私は長髪のストレートでメッシュをいれて日々バンド活動に没頭していた。

そんなある日珍しく授業に出ると隣の席にはストレートの黒髪が良く似合う女生徒がいた。はっきり言ってクラスでも全く目立つタイプではなかった。それから1ヶ月程経った頃だろうか、私はいつもの様に屋上の屋根の上で横になり曲を考えながらタバコを吸っていた時、屋上の扉が勢いよく開いた。一人の女の子が走って来て屋上の屋根の下ですすり泣きしていた。無視するのが一番だとは思ったが、なぜか私は屋根から飛び降り女の子にどうしたのか聞いた。もしイジメだったらイジメが大嫌いな私はイジメた相手のクラスに殴り込みに行く気だった。.......ん?よく見れば目の前で泣いている女の子は私のクラスの隣の席の子だった。「どうしたの?イジメられた?何があった?」なぜか分からないが私はその子に理由を聞いていた。「いや......何でもないです」と彼女は答えた。「イヤ、何でもないのに授業中に屋上で一人で泣くなんて有り得ないだろ!?」と私は問いただした。すると「実は彼氏から身体の関係を求められて。でも私、本当に大好きな人に最初は...」と答えた。私は「じゃあ、大好きでもないのに付き合ってるの?」と聞いた。「最初は優しくて勉強も出来て告白されて、嬉しくて付き合ってみたんですけど彼の要求が日増しにエスカレートしていって、別れて下さいって言ったんですけど嫌だね。と言われて...」と泣きながら答えた。私は何故か彼女を抱きしめ「俺が守ってやる。俺の事好きになれ!」と言うと彼女は「実は前から好きだったんです。でも京介さんは凄いモテるし、私なんか相手にもしてくれないと思って、だから京介さんが好きだけど神田君と付き合ったんです。」と答えた。私は「神田には俺から言っとく。今日からお前は俺の一番大切な人だ」と言いながら彼女の涙を拭ってあげるとまだ幼さがあるが可愛らしい顔をしていた。その瞬間私は恋をした。人生で初めての恋、初めての彼女であった。名前は朋子(ともこ)、私は中学二年ながらも朋子と結婚したい。とまで思ってしまった。

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それでも生きてるだけマシかも @1215

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