Ⅵ 二度目の恋

『うーん…。あれ?ここは……?あ、そっか。今日からここに寝泊まりするんだっ

 け…。』


 アジトに来て1回目の朝。僕は慣れていないマットレスの御蔭で、身体中のあちこちが痛い。でも、何日かすれば慣れるだろう。


『おーい、起きろー。起きない奴は朝飯なしだぁ。』


 アジト内の放送を通して、団長が叫んでいる。

 室内放送が流れた後、約5秒後に団員全員が階段を駆け下りていくのが聞こえる。

「よし、自然魔法ノーマル 主人への忠誠ムーヴ。」


 綿花で出来た服が自然と僕に密着する。これは僕が思っていることと同じ。自然で出来たものなら、なんだって動かすことができる。

 約5秒後にはもう食卓に着いていた。


「のわっ!早いね~、新人君~。」


「団長は?」


「まだ厨房で作ってるけど。あ、君、新人?」


「あっ、はい、そうですが…。」


「私レオラ。バレン・レオラ。よろしくね。」


「よろしくお願いします。…って、バレン家⁉」


「私から説明しておくわね。彼女、皇族おうぞくなの。」


「こここ、これは失礼いたしました!」


「頭を上げなさいよ。私は庶民に対して偉ぶりたくないの。」


「おう、お前ら。何やってやがる。飯出来たぞ。」


「おー!朝飯だー!」


 いつの間にかアズが席に着いていた。


「おぉ~!何か豪華!」


「当たり前だよ!団長が作った飯は都の一流シェフが作ったものより絶品だからね!」


 楽しい黑兎ラビットの朝食の時間が始まった。


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「うっぷ、もう食えねえ…。ご馳走様でした!」


「僕、腹ごなしに食後の散歩に行ってきます。」


「行ってらっしゃーい!」


 ランスが口に食べ物を入れながら見送ってくれた。

 僕は暫く街の方に行くことにした。

 普段と同じく賑わっていて、人混みが各店舗に溢れていた。

 そこで僕は、大荷物を抱えた女性とぶつかってしまった。


「キャッ!」


「あ、すみません!手伝います!」


「いいえ、大丈夫です…って、あれ?君…黑兎ラビットの…。」


「そうですが……もしかして、エリ…何だっけ…。」


「エリア、ね。今日はどうしたの?」


「えっと、ちょっと散歩に…。まず拾いません?」


「あっ、忘れてた…。ごめんなさいね、手伝わせちゃって…。」


「いえいえ、大丈夫で…。」


 僕が言葉を止めたのには理由がある。

 それは、彼女が花を咲かせたような、優しい微笑みを僕に向けてくれたからだ。

 その顔につい見入ってしまい、「ん?何か顔に付いてる?」


「あ、いや、何でもないです、すみません。」


「どうしたの?急に。面白い方ね。」


 エリアはくすっと笑うと、僕を誘ってきた。


「ねえ、ちょっとお話しない?」




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