やはりブラックマンデーは起きてしまったか

 10月19日 - ニューヨーク株式市場が大暴落するブラックマンデーが発生し、世界同時株安に陥る。


 さて、”前”同様にブラックマンデーが発生し世界の主要23市場すべてが、暴落した。


 8か国で20〜29%、3か国で30〜39%(香港、オーストラリア、シンガポール)、3か国で40%以上(マレーシア、メキシコ、ニュージーランド)の暴落が発生し、これは”前”を含めて最大規模の暴落で、全世界での損失は1兆7000億米ドルと推定された。


 元々の原因が米国の財政赤字と貿易赤字の「双子の赤字」に対してのドル安に伴うインフレ懸念が浮上したことで日本経済が好調であっても世界的に見れば大きな影響はなかったのだろう。


 まあ、俺が持っていた株は全部売り抜けてるから問題ないけどな。


 これによる大恐慌の再来さらには冷戦からの本格的に第三次世界大戦が起こることを危惧する声も上がった。


 実際にワルシャワ条約機構が北大西洋条約機構より優位にあった主力戦車で西欧に侵攻し、その過程で戦術核兵器が限定使用される状況も想定され、日本への侵攻も絶対ないとは言えない状況ではあるのだが、現状ではソ連はすでに崩壊寸前で軍事行動を起こせる状況ではないだろう。


 改革および新思考外交を掲げて、経済が疲弊したソ連国内体制の改良とともに、予算案を大幅に削減した大胆な軍縮提案を行い実際にそれは実行されつつあるしな。


 1987年12月8日には中距離核戦力全廃条約も調印されるはずだ。この緊張緩和によって、両国の代理戦争と化していたエチオピアとソマリアの間で起こったオガデン戦争も来年には終結していくはずだし、クメール・ルージュの支配によるカンボジア内戦も同様に収束していき、ソ連にとっては悪夢のアフガニスタンからの撤退も進むはずだ。


 逆に言えば現状はアメリカ対ソビエトの代理戦争は世界各地で続いているということでもあるのだが。


 日本はアメリカなどとの貿易摩擦問題もあって内需拡大の方針に沿って、公共投資の拡大、輸入の拡大、貿易黒字の縮小をめざす内需主導型経済への転換を進めている最中ではあるが、大蔵省は4大証券会社の代表を呼び出して、日経平均株価を支え、2万1000円以上に維持するように要請しているはずだ。


 その方法が、特金と呼ばれる、銀行や証券会社を使って企業に株や不動産に投資をさせる制度で株価を維持するよう積極的に動いた大蔵省はバブルの異常な加熱と崩壊の戦犯だ。


 ブラックマンデーと呼ばれる世界株価暴落の翌日、大蔵省は当時4大証券会社だった野村証券、大和証券、山一証券、日興証券の4つの証券会社の代表を呼び出して、日経平均株価を支え、2万1000円以上に維持するように要請した特定金外信託と呼ばれる「株や不動産を売って利益が出た時の税金を低く抑える制度」を企業のために整備して、その利用を認めたがこれは明らかに違法なので、株価上昇の裏に隠れていた、大蔵省の汚職と株価操作なども含めて新聞やテレビなどでやってはいけないことであることを広く知らせるようにした。


 この営業特金により、企業が財テクにはしって日本の技術停滞につながっていくし、大蔵省は決して株価を下落させないし大蔵省は投資家に損はさせないなどという根拠のない信頼性を日本人に植え付けたのだからな。


 また日銀はバブル化する状況を見ながら利下げ停止に遅れ、後には景気過熱を防ぐための利上げにも遅れたことでバブル崩壊のダメージがその後ずっとつづくことにもなった。


 バブル発生と崩壊の原因は大蔵省と日銀、そして証券会社にあるわけで「BIS規制」も含めてこの辺りを何とかしないと前と同じ道を歩きかねない。


 大蔵官僚たちは株価の操作なんて簡単と考えているようだが、経済なんてものは国の官庁が思うようにコントロールできるようなものではないのだからな。

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