谷津ライジングマリナーズは絶好調だ、やはり夏の夜空には花火が似合うな。

 さて、プロ野球パ・リーグのほうは夏休み中も西武ライオネルズと谷津ライジングマリナーズが激しい首位争いを繰り広げている。


 川崎時代のロッチも決して選手層は薄くはなく、特に打撃についてはかなりのものだった。


 そしてバレンタイン監督は選手を酷使するようなことは一切せず、知名度が高い選手だからとポジション固定することもなく、どんなに好調な選手であって完全試合などがかかっていたりしても無理はさせないし、体調管理を選手自身の判断に任せず一定間隔で休養をとらせ、温泉施設やマッサージなどによる疲労回復にも気を使っているので大きな故障での離脱者などはいないのはとても心強い。


 そして若手選手でも積極的に先発などに起用され、ほぼ全てのポジションに複数の選手を充て競争意識を高めつつ、それにより適度に休養を取らせることで、実質的な飼い殺しになってふてくされている選手もいないから皆がやる気にあふれている。


 チャンスは皆平等にあり頑張れば試合で活躍できしかも体力的に無理をさせるようなこともないのだから皆が頑張るのは当然だろう。


 部下を使う際の上司としては理想的な上司だと思うよ。


 まあゲーム開発の場合は個人的な”センスひらめき”に頼る部分も多いので、野球のようなチームに徹することが結果として無難なだけでとがったところのない面白みの少ないゲームになってしまうことも多いので全面的に同じことをするのが正しいとも限らないけどな。


 そして谷津球場でのホームゲームのナイターでは選手がホームランを打った時や、応援合戦時にはバックスクリーンの後ろで打ち上げ花火が盛大に上がっている。


 それが一層試合と観客を盛り上げていて毎日が小さな花火大会のような騒ぎだ。


 そのため谷津駅から谷津遊園までの商店街などもとてもにぎわっているし、屋台や夜店なども出てお祭り騒ぎのようになっている。


 舞浜のあれではイルミネーションパレードが大人気だが花火の打ち上げも行われているので海の向こうで花火が打ちあがっているのが見えたりするが、やはり日本お夏の夜空には花火はとても似合うと思う。


 花火を楽しむために屋形船での宴会なども盛り上がっているし、花火の打ち上げにかかっている費用は少なくないがそれを補って余りあるほど集客効果はあると思う。


「谷津ライジングマリナーズの優勝も見えてきたし、首位争いのデッドヒート状態が続いているのはかえっていいことかな」


 俺がそう言うと北条先輩がうなずいた。


「ええ、そして谷津球場でのナイターでの花火打ち上げにはかなり効果がありましたわね。

 一晩50万円程度で2.5号玉の70m花火が40発。

 3号玉の90m花火が30発。

 4号玉の120m花火が25発。

 10号玉の300m花火が1発撃ちあげられますがこれでも十分な効果がありますし」


 豊臣さんもその言葉にうなずいている。


「宮城球場時代や川崎球場時代の12球団最弱で最低レベルの観客動員数のイメージも払拭できましたし

 ユニフォーム・球団旗・ペットマーク・マスコットをすべて一新したこともあって、逆にそういったファングッズの売れ行きが好調ですから世の中何が幸いするかわからないものです」


 俺はその言葉に苦笑して返す。


「まあ、そういうものだよな。

 そして千葉県をホームグラウンドにしているプロ野球球団はうちだけだから地元千葉県の野球ファンはうちに来る人も増えているみたいだ」


 朝倉さんはちょっと不機嫌に言う。


「横浜ホイールズは今年もBクラスから抜け出せそうにないですが監督が代わっているのは同じなのになぜこうも違うのです?」


「もともとロッチの選手層は決して薄くないけど、横浜は正直選手層も厳しいからなぁ。

 セ・リーグの場合関東はガイアンツ、関西はタイタンズが圧倒的に人気だから仕方ないとも言えるけど」


「なんか理不尽です」


「横浜もスカウティングに力を入れ始めたみたいだから優勝の可能性は上がると思うけどね」


「だといいのですけど」


 野球は力のある選手を集めるのも大事だけどその選手の実力を発揮できるように采配できる監督がいることはもっと大事なのだと思う。


 そしてプロ野球などのチームを地元密着型にしてファンを作り上げるのも大事だし、選手を使い潰すようなことをしない、えこひいきで選手を飼い殺しにしないということも大事だって他の球団オーナーも気がついてくれるといいのだけどな。

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