サンシャインの夏休みのビッグタイトルとしてヘックスのファイナルファイトファンタジーがかなり売れてるらしいな

 さて、東北・山陰からの旅から戻ってきた俺達は、受験勉強もしつつゲームの監修や制作もしている。


 そして夏休みのビッグタイトルとしてヘックスのFFFファイナルファイトファンタジーが発売され、大作RPGとして100万本を売り上げて、人気を博している。


 サンシャイン本体は今までに150万台程売れているが、その3分の2は買っているというのはすごいと思う。


 プレイヤーは4人の戦士を操作し、土・火・水・風の4つのクリスタルの輝きを遮る「4体のカオス」を倒して暗黒に包まれた世界を救う事を目的としたゲームだが、美麗なグラフィックで表示されるオープニングタイトルや、最初にキャラクターの職業を選択でき、多彩な乗り物があり空中を移動する飛空艇の存在による無駄なエンカウントのない移動、レベルアップではなく魔法を店で購入することで使用できるようになる魔法システムや、属性や弱点を突いた多彩な戦術シチュエーション、どのジョブでもクリアできる自由度の高さなどといったやり込みやリプレイバリューの要素、また浮遊城や海底神殿などの幻想的なダンジョンの舞台設定や画面右側に主人公たち4人が縦に並び、画面左側に敵モンスターのグラフィックが表示され、主人公たちが行動するときはキャラクターが実際に剣を振ったり、魔法を唱えたりするアニメーション動作が見られ、HPが少なくなったりステータス異常に陥ったりすると、キャラクターが膝を落としてうずくまったりすることでやばい状況なのがわかるようになっている。


 戦闘時に自分たちのキャラクターが画面に表示されてアニメーションをし、キャラクターやモンスターの行動時に「○○のこうげき」「○○は××をとなえた」のような文章による表現ではなく、行動したキャラクターと相手の名前、魔法や特殊攻撃などの名前、攻撃ヒット回数、ダメージポイントなどが、並んだウィンドウ内にそれぞれ表示されるだけで、文字によるキャラクターの行動や状態の説明があまりないのは珍しかったりする。


 また重要なシーンごとに美麗な一枚絵などがあったりするのも評価が高い。


「それにしても最初に俺達がゲームを売り込みに行ったヘックスが俺達の子会社になるとは思いもよらなかったよな」


 ヘックスは倒産寸前の危機に陥っていたことからあっさり買収できたわけだが、1984年のPC用ゲームリリースを皮切りに1985年からはホムコンにも参入、1986年に発売されたディスクシステムでは当時PC用ゲームを主に開発していたメーカー7社と共にDOGというブランドを結成してROMカセットよりコスト面でリリースがしやすいディスクシステム用タイトルを積極的にリリースし”ディープダンジョンズ”と言うRPGも制作していた。


 しかし、これと言ったヒット作はでていなかった。


「そうですわね。

 ライジングはヘックスの会員制ゲームサロンを作ってそこからバイトを拾い上げるという方法を真似したりもしているわけですが」


「もともと、パソコンのRPGを作っていてシナリオ面でも評価はされたし、ビジュアル性やアニメーションを取り入れた作品なんかが人気だったからね。

 ヘックスにはポケットサンシャイン用のRPGも作ってもらうつもりだけど」


 そして北条先輩が言う。


「ああ、ゲーム制作会社のテクノもようやく買い取れましたわ」


「お、そいつは朗報だね。

 これでコマンダー翼のゲームもサンシャインで売り出せるな」


「そうですわね」


 昭和60年(1985年)と昭和61年(1986年)はホムコンが一年で400万台近く売れていたが、今年はだいぶ売上も下がっているようだ。


 無論累計の売上台数ではかなりのものはあるのだが 昭和58年(1983年)当時では美麗でアーケードゲームを移植するのに十分な能力だったグラフィックやサウンドも今ではだいぶ見劣りするものになっているのは否めない。


 ゲームは画面が綺麗であればいい、音楽が美しければいいというわけでもないのだがやはりある程度までの綺麗さなどはユーザーも望むものではあるよな。

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