今年の浅井さんの誕生日はちゃんと祝えたしプレゼントにも喜んでくれたようで良かったよ

 さて、あれこれしている間に浅井さんの誕生日も近づいてきた。


 そろそろプレゼントか買うべきだろうけど、一体何を買えば浅井さんが喜んでくれるだろうか。


 俺一人で悩んでいても解決する気がしないので俺は横山さんに頼ることにした。


「横山さん。

 誕生日プレゼントとして浅井さんに送るものは何が喜んでもらえそうかな?」


 俺の言葉を聞いた横山さんはふうとため息を付いた後言った


「よほど変なものじゃない限りは部長さんがくれるものならひーちゃんは喜びますよ」


「うん、多分そうだろうから余計困っているんだよな」


 横山さんはしょうがない人だなと言いたげな目線で俺を見た後で言った。


「まずはやっぱりアクセサリーじゃないですか。

 あんまり派手じゃないペンダントとかなら仕事場にもつけていけますし」


「なるほどペンダントか。

 アクセサリーなら無難なところかな」


「後は今の時期は手も荒れやすいからハンドクリームとか、寒い時期ですから手袋とかマフラーとか、後は一年中使えるハンカチとかもいいんじゃないですか」


「なるほどハンドクリームに防寒グッズにハンカチだな。

 たしかにこれからの時期にはいいかもしれないな」


「後、ひーちゃんは甘いものが大好きだから、バースデーケーキ以外に高級ブランドチョコレートとかをあげてもいいと思いますよ」


「なるほどちなみに横山さんは?」


 俺がそう聞くと横山さんは苦笑していった。


「あーそう言うのは本人に直接聞いちゃだめですよ」


「あ、うん、そうだよな、ごめん」


 というわけで横山さんの誕生日プレゼントは浅井さんに聞くとしようか。


「浅井さん、横山さんへの誕生日プレゼントって何がいいかな?

 俺は横山さんとはあんまり接点がないからよくわからないんだよな」


 横山さんとは学年が違うからなぁ。


 バイク仲間の足利さんとはちょこちょこ一緒にツーリングしたり、バイク整備について話をしたりするけど。


「ち-ちゃんのお家は結構お金持ちっぽいので、難しいですね。

 あ、でももんじゃ焼きとか回らないお寿司が大好きって、いっていましたから庶民的なのかお金持ちなのかよくわからないところもありますね」


「もんじゃ焼きと回らないお寿司だとたしかになんかギャップが有るな」


「後はフルーツなら桃が一番好きって言っていましたね」


「桃かぁ。

 桃の旬は夏だからなぁ……」


「でも桃のケーキとかならデパートの地下の洋菓子店などなら手に入ると思いますよ」


「ああ、なるほど、そういうのもいいか。

 ありがとう、浅井さん」


「いいえ、お役になれて嬉しいです」


 で、その後プレゼントを買いに行く際には朝倉さんに付き合ってもらうことにした。


「朝倉さん。

 浅井さんの誕生日プレゼントを買いに行こうと思うんだけど、一緒に見て意見してもらえるかな?」


 朝倉さんは首を傾げていった。


「別にそれは構わないですが、なぜ私ですか?」


「ん、朝倉さんなら一番忌憚ない意見が聞けそうだから」


「部長の中で私はそういう位置づけですか……。

 まあ構いませんが」


 というわけでまずは千葉そごうのジュエリーショップへ向かう。


 女連れの俺を見て店員さんがニコニコしながらすっとよってきて聞いた。


「そちらの彼女さんへのプレゼントですか?」


「あ、いや違う女性へのプレゼントですが」


 俺がそう言うと店員さんの笑顔がひくついたが、続けて聞かれた。


「ではどのようなものをお探しですか?」


「誕生日プレゼントでチェーン付きのペンダントを贈りたいんですけど

  12月の誕生石ってなんでしたっけ?」


「12月の誕生石はタンザナイト、ターコイズ、ラピスラズリですね。

 タンザナイトの石言葉は「高貴、冷静」。

 ターコイズの石言葉は「成功、繁栄」。

 ラピスラズリの石言葉は「愛情、幸運」。

 になっていますよ」


「なるほど、朝倉さん。

 浅井さんに送るならターコイズとラピスラズリどっちがより喜ばれそうかな?」


「それはラピスラズリですよ」


「そっか、ラピスラズリのペンダントっていくら位ですか?」


「宝石や地金の品質次第ですが安ければ5000円くらいからですし、高いものなら200万円くらいまで様々ですね」


「200万円かぁ、もし朝倉さんがそれをもらったらどう思うかな?」


 朝倉さんは苦笑しながら言った。


「私ならそんな物をもらったら間違いなくドン引きです。

 大体200万円もする宝石なんて普段から身に着けられないです。

 社交パーティか何かにでもいかせるつもりです?」


「ああ、たしかにそうか。

 2万か3万くらいならどうかな?」


「高校生がつけるにしては高いと思いますが……。

 そのくらいならデザインも安っぽくなくていいと思うですよ」


 朝倉さんのアドバイスに従って俺は店員さんに言った。


「そっか、じゃあ2万か3万くらいのやつを見せてもらえるかな」


「はい、お待ち下さい」


 で店員さんにいくつか持ってきてもらった中で、無難な涙型のプラチナ地金のペンダントトップをとって朝倉さんに聞いてみた。


「これならどうかな?」


「デザインも無難ですし、けばけばしくもないのでいいと思うです」


「じゃあお姉さんこれを一つ。

 誕生日プレゼントだからラッピングもお願い」


「承知いたしました」


 というわけで3万円のラピスラズリプラチナペンダントを無事入手。


 あとゴディバの1万円セットチョコも買って終了。


 かかった金も4万くらいで収まったし、まずまずじゃないかな。


「これで浅井さんが喜んでくれるといいんだけど。

 あ、朝倉さんの誕生日はいつかな?」


「私の誕生日は3月18日ですよ」


「んじゃ、そのときにはちゃんとお礼のプレゼントを送るよ」


 俺がそう言うと朝倉さんはため息を付いて言った。


「そうやってナチュラルに言うから部長はたらしだって言うんです」


「え、なんか問題あるかな?」


「別に問題はないですが」


 で、浅井さんの誕生日当日になった。


 バースデーケーキにろうそくを立てて、火をともし、それを浅井さんが吹き消しながらハッピーバイスデートゥーユーとみんなで歌ってお祝いをする。


「みなさんありがとうございます」


 そして俺は浅井さんへプレゼントを手渡しした。


「誕生日おめでとう。

 これは俺から浅井さんへの誕生日プレゼント」


 とまずはラッピングされたラピスラズリのペンダントを渡す。


「あ、開けてみてもいいですか」


「うん、どうぞ」


「うわあ、素敵なペンダントですね。

 ありがとうございます」


 他の部員たちもハンドクリームとか手袋とかマフラーとか、ハンカチとかを送っていて浅井さんはそれらにも喜んでいたけど、浅井さんがペンダントを見て気に入ってくれたようで良かったよ。


 その後渡したゴディバのチョコも喜んでくれたよ。

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