浅井さんの旅行に必要なものを買うためにみんなと一緒に買いに行くか
さて、みんなで慰安旅行に行く前に、今までは施設から遠く離れる場所へ旅行へ行くことはできなかったという浅井さんのために、旅行に必要なものを買わないとだめだろうな。
「斉藤さん、浅井さんが旅行に行く時に必要なものを、安いものはEBSで、高いものは千葉そごうか、ららぽーとで買おうと思うんで一緒の買い物に付き合ってくれるかな?」
俺が斉藤さんに買い物に付き合ってもらおうと思ったのは、男だと何が必要なのか、わから無いこともありそうだったからだ。
「ええ、いいわよ」
そうすると会長も言った。
「ならば私もいきましょうか?」
「あ、会長には別のことをお願いしたいんだ」
「それはどのようなことでしょう?」
「伊豆の熱海駅や伊東駅、福島の東北新幹線が泊まる郡山駅や福島駅、猪苗代湖近辺の磐梯熱海温泉や常磐線の湯本駅、近くの経営状態が思わしくなさそうな温泉旅館を調べてもらいたいんだ。
できれば車を持ってない人でも電車で行きやすい場所がいいしね」
「ああ、なるほど、そこを保養所の候補物件にするのですわね」
「ああ、で、こういうのができるのは会長しかいないからね」
会長は肩をすくめながら言った。
「そこまで言われては仕方ないですわね。
わたしの方で調べておきますわ」
「あと、常磐ハワイセンターも調べておいてほしい」
「それは確か総合温泉施設でしたわね」
「うん、たしか今頃は、経営が思わしくないはずだから、なんなら買い上げてもいいと思うんだ」
「わかりましたわ。
そちらもおまかせくださいませ」
というわけで俺と斉藤さんと浅井さんで買い物へ行くことにした。
「ところで旅行に必要なものってどんなものでしょう?」
浅井さんが斉藤さんに聞くと斉藤さんは笑顔で答えてくれている。
「まずは荷物を入れるバックかリュックサックに、汗をかくだろうから着替えのシャツや下着に靴下はまず必要ね。
あとは日焼け防止や虫に刺されないように長袖のパーカーなんかもあったほうがいいわね。
旅館には据え付けの浴衣があるけどそれを着るのが嫌ならパジャマもあったほうがいいわ。
ハンカチとポケットティッシュもあったほうがいいし、剃刀、歯ブラシ、歯磨き粉、シャンプー、リンス、石鹸、バスタオル、ハンドタオル、ボディタオルなんかは旅館にあるかもしれないけど、無いかもしれないから念のため持っていったほうがいいかもしれないわ。
あとは海水浴をするでしょうからその時に必要な、水着やビーチサンダルに日焼け止めなんかかしら」
うん、一気に言われてもちょっと多すぎて覚えきれないぞ。
「え、ええと、随分いっぱいあるんですね。
お金足りるかな……」
困ったように言う浅井さんの様子を見て俺は会長に聞いた。
「あ、会長、俺の口座から20万くらい下ろしてもいい?」
「いいですけど?」
「で、それ浅井さんの買い物に必要だから、一旦会社の金で建て替えておいてくれるかな?」
「20万円分も買い物するのですか?
ああでも、一切、旅行に必要なものが無いなら、そのくらいは必要かもしれませんわね」
というわけで20万円をとりあえず会長に出してもらって、それを持って買い物にゴーだ。
「あ、自分も一緒に行きたいっす!」
「わたしもです」
「わたしもー」
「ああ、じゃあみんなで一緒に行くか」
というわけで会長をのぞいたメンバーで買い物に行こうとしたら。
「ならわたしも行きますわ!」
というわけで全員で行くことになってしまった。
100円ショップがあれば色々安く手に入るんだが……EBSの68円ショップなら今でもあるか。
「上杉先生、部活の慰安旅行に行きますが引率をお願いできますか?」
「それは構わんが、どこに行くんだ?」
「伊豆の熱海か伊東と福島の温泉地の何処かにしようかと」
「ほほう、ならわたしも水着を買わねばな」
「アッ、ハイ、ソウデスネ」
というわけで先生に学校のマイクロバスを使ってもらって買い出しに出発。
「っていうかどうしてこんな大人数に……まあいいや、まずはEBS卸売りセンター江戸川店に行ってもらえます?」
「ああ、いいぞ」
EBS卸売りセンターは68円ショップ、38円ドリンクがある業務用スーパーの魁みたいな所。
本八幡駅前にもあるけど、そっちは小さいし駐車場もないんで、どうせ車まで行くならでかい方へ行こうかと。
こうして俺たちはみんなで旅行に必要なものを買いに買い物に出かけるのだった。
まずはEBS卸売りセンターで安く買えるものは安く買って、足りないものはららぽーとでも買いに行けばいいだろうか?
「さて到着だな」
ここの建物は元々は家具屋だった所をそのまま使ってるんだけど、その外観はほとんど工場とか倉庫みたいな感じで、あの灰色のトタンの壁でできてるから外観も店内もお世辞にもおしゃれとか綺麗とは言えず、ボロめで、什器も通常のスーパーとは異なり、倉庫で使われるような無骨な棚を採用してるからほんと倉庫って感じ。
「ここが1個から卸値で買えるという卸売りセンターですわね」
会長が本当に大丈夫かここ? という感じで見てるがまあ気持ちはわかる。
「ああ、ぶっちゃけ、殆どは食料品だけど日用品、家電品も馬鹿みたく安く買えるよ。
車でないと買いに来づらいのが欠点だけどね」
ここが安いのは小売可能な業務用卸の店舗、まあ業務用スーパーみたいなものであるので余計な中抜きの金がかかってないことや、チラシなどの広告宣伝費をかけてないこと、大量入荷により仕入れ値を下げてること、家電や日用品は見たことも聞いたこともない3流メーカーの商品や型落ち品の売れ残りのものを買い集めてもいるからのようで、店内に入ったら早速、上杉先生が喜びに声を上げている。
「おお、ビールなんかもめちゃくちゃ安いな!
2Lの烏龍茶も88円だし、レタス3個99円だし牛肉も普通のスーパーの半額以下じゃないか」
冷静に朝倉さんがツッコミを入れる。
「いや車の運転手が言っていいセリフじゃないです」
「安心しろ、運転する前には酒はのまんよ、そのための烏龍茶だ」
と言いながら嬉々として缶ビールをかごに入れてる先生。
「言ってることとやってることがあってないっすね」
明智さんも苦笑しながら激安の缶ジュースを買ってるけどな。
「20円のそばやうどんの乾麺に38円のジュースって本当に大丈夫ですの?」
「乾麺もそうだろうと思うけどジュースや酒の原価はそこまで高くないから大丈夫なんじゃないかな」
広さはショッピングモール的なスーパーと同じ位でかなり広い。
「あ、ソ、ソックスも68円なんてちょっと安すぎて信じられませけど、助かりますね」
と浅井さんがソックスやハンカチ、化粧用のコットンパフや綿棒、剃刀なんかをかごに入れている。
68円コーナーは日用品、文具、衣類、洗剤とか掃除用品、生活雑貨、食器や箸、急須など幅広く品物を扱っていて、100円ショップダイソンの大型店舗の品数を減らして価格を68円にした感じだから、結構ここだけでもそれなりに品物は揃えられるし、他所の問屋で余剰在庫になったものなどを現金で大量に買いたたいて安く販売しているので品質は市場のものと同じなんだが、賞味期限の近いものが多いらしいし、衣類なんかはアパレルなどのメーカーとしても、早い商品サイクルにより余ってしまった在庫をこういったところで在庫処分することができるメリットも有るんだろう。
東日本では7月初旬から7月15日までお中元シーズンなので売れ残ったそういったお中元用セットも安く売られている。
まあこれが駅前にあったら周囲の個人商店はちょっときついかもって感じではある。
「20万もおろしたのですからわざわざここまで安いものを買わなくて良い気がしますが……」
「まあ、安く買えるものは安く買うに越したことはないわ」
おや、珍しく会長と斉藤さんがそんな話をしてる。
いつもは安く値切ることにこだわる会長だけど、ここの値段が安すぎるからかえって怖い気がするのかもな。
「別に品質が悪いものを売ってるわけじゃないしな。
まあ流行遅れな品とか多いんだろうけど」
まあなんとなく斉藤さんと会長も打ち解けてきたような気がするんで少し安心だ。
俺も2枚組で398円の激安トランクスやシャンプーやボディーウォッシュも500円と安いので買って、68円のバスタオルやフェイスタオルなんかも買っておく。
「水着をどうするかが問題です」
「そうっすよね、本当に」
君たち谷津遊園のプールの時に水着は着てなかったかい?
「とりあえずアイマスクと耳栓があると電車の中で寝たりするのがだいぶ楽になるわね」
斉藤さんがそういうのに俺は感心しながらうなずく。
「なるほど、たしかにそうかもな」
ディスカウントストアによくあるなんだかよくわからないパーティゲームがおいてあるコーナーで明智さんが言う。
「なんか面白そうなかんじっすね。
安いしいくつか適当に買っていくっす」
「ああ、今作ってるゲームの参考になるかもしれないしな。」
俺はどうせ旅の時に使うだけなんだからとそこまで深く考えないで適当に選んでるが、女の子たちはそうも行かないらしいようで、特に浅井さんが真剣に悩んでて、同じようなものをどれがいいか悩みながら最小限を買ってるみたいなんだよな。
「別に欲しいなら欲しいだけ買ってもいいと思うぜ。
どうせ安いんだし」
「え、ええと、それは……」
「まあ、必要以上に買う必要もないけどな。
使わないと結局もったいないし」
「は、はい、そうです」
ま、それなりに数を買ってもかなりお財布にやさしいのは嬉しいけど無駄に買う必要もないもんな。
しばらくしてみんな会計が終わった。
「さて、あとは水着と浅井さんのバッグくらいか?」
「そうね、そろそろららぽーとに行きましょうか」
「ええ、そうしましょうか」
皆で買ったものを車に乗せて今度はららぽーとへ。
旅行グッズが売ってる場所で適当なリュックサックを見繕ってまずそれを買う。
「リュックサックは両手が空くのがメリットだよな」
とりあえずみんなで水着売り場に行くことにするが、男性用水着はほんのちょっとで殆どは女性用。
俺はこの前にプールで履いた奴でいいから新しくは買わないけどな……それにしても水着って結構高いよな。
そのころ女の子たちはというと……。
「あ、これもかわいいです」
「これもいいっすね」
「それにしてもこれだけ数があると迷うわね」
「そうですよねー」
「ふむ、今の流行はこんな感じなのか」
「そうですわ、先生」
とまあやたらとかしましい。
日本では単独の売り場が設けられることの多い水着なんだが、海外では水着と下着が同じ売り場にディスプレイされるらしいんでそうでなくてよかったけど。
「とりあえずある程度選びましょう」
「はい」
女の子達(一人は女の子じゃないけど)と一緒に一人で、その集団に入ってる俺に怪訝な視線を向ける女性店員さん。
いや違う、俺は無実だ。
「うーん、これもいいわね」
「これもいいです」
「タンキニもまだまだ流行りっすからね」
「ボトムスはサイドが紐のタイプか、ホットパンツ風が普通ですわ」
「うーん、そうなのか。
今の水着はそんな感じなんだな」
みんなでウキウキといろいろな水着を手にとっては胸に当ててお互いにあーでもないこーでもないと言いあってるんで、彼女たちはとても楽しそうだが俺はなんか周りの視線が痛い。
しばらくしてウキウキしながら試着室に入っていって試着した後、浅井さんが俺の前に水着を持ってきた。
「あ、あの、これとこれどっちがいいと思いますか?」
バラっぽい花がらの水着とシンプルな白いワンピース水着。
「うーん、俺的には白かな?」
「な、なるほど、こちらですね」
そこへ朝倉さんがツッコミを入れてくる。
「部長はセンスないから聞いてもあんまり参考にならないですよ」
「悪かったね、センスなくて」
そう言いつつ水着を見せてくる朝倉さん。
「で、これとこれどっちがいいと思うですか?」
「センスないって言ってるのに俺にきく?」
朝倉さんは可愛らしいフリルのクリームイエローのワンピースにシンプルなモノトーンな水着を片手ずつ持ちながら聞いてくる。
「クリームイエローのほうかな」
「なるほど、そっちですか。
なんとなくそんな感じはしてたです」
そんな感じであーだこーだとやりながらみんな水着選びも終わったけど、滅茶苦茶疲れたぜ。
ついでになんであなたは買っていかないの? という売り場のお姉さんの冷たい視線に負けて、俺も結局は水着を買う羽目になったけどな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます