あれから
異世界転移騒動が起こってから10年後、この世界は大きく変わった。
何が変わったかというと
まず、ネアタールという国がこの世界のど真ん中にやってきたことだ。
ネアタールは面積が10,000,000平方キロメートルと、現実世界のカナダより大きい国であり、そんな国がど真ん中に急に現れればそりゃ驚くだろう。
なお、ネアタールが現れた分、この惑星は広くなったらしい。だから、海が狭くなった!とかそういうのはないらしい。
そして、ネアンデルタール人という存在。
この世界の人間は、「今も昔も人類はサピエンスしか存在しない」と思っていた。
だが、そんなことはなかった。
サピエンス以外の人類は、異世界に存在していたのだ。
骨太で筋肉質な身体、発達した眼窩上隆起など、我々とは違う進化を遂げた人類。
この新たな人類の発見に
「マジやばくね!?」
「やばいっす!」
「ヤバスギィ!」
など、人類学者は驚きを隠せなかった。
ーーー
「いや~、驚きですよ。我々の遺伝子の2~4パーセント(諸説あり)はネアンデルタール人由来だったとは」
とある科学者はその昔、サピエンスとネアンデルタール人が交雑していたことを主張した。
「まさか!だったら、ネアンデルタール人の骨がどこかで発掘されているはずだ!」
これに関しては、さまざまな議論が行われたが、なぜサピエンスにネアンデルタール人の遺伝子が存在しているのか、これに対する最も有力な説は
「ネアタールのネアンデルタール人がこの世界に来たように、我々も別の世界からこの世界に来たのではないのか?」
という説だ。
「なるほどなぁ。」
これなら、サピエンスが急に猿から進化したわけではない、ということが大体わかる。
ネアタール側の資料によれば、サピエンスとネアンデルタール人は、ホモ・ハイデルベルゲンシスという人類から枝分かれした人類らしい。
田中「ほらみたことか!やっぱり俺の言っていたことは正しかったんだ!」
田中は喜びのあまり、狭い自室の中で飛び跳ねていた。
ーーー
ナガハマ「いや~、そうっすねぇ。やっぱりそれが一番いいっすよねぇ」
異世界転移後、ネアタール大統領のナガハマは各国の首脳と、モニター越しに会話をしていた。
田辺「うむ、貴国には我々の世界には存在しないウイルスが存在している可能性がある。もし、貴国の未知のウイルスが外に流出すれば、免疫のない我々は大変なことになる」
ニポン国首相の田辺修(たなべおさむ)は深刻な面持ちだった。
プチン「輸出も輸入も控えたほうがいいかもしれんな。ネアタールの人々も、我々の世界のウイルスに免疫を持たないかもしれん」
ロシカ大統領のプチンはあまりネアタールに興味がなさそうに見えた。
「まあ、ネアタールは何もかも自国で賄えますからねぇ。大丈夫っすよ」
ーーー
ちなみに、なぜか国連に飛ばされてきた毛皮の集団はネアンデルタール人だったようだが、ネアタール側によれば、「自分たちの国の人間ではない可能性が高い」とのことだった。
彼らは現在、国連の研究施設に保護されているが、結局どこから来たネアンデルタール人かわからないようだ。
ただ、彼らはこの世界の共通語であるサピエンス語を覚えてきているので、どこから来たかは、近いうちにわかるようになるだろう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます