シンイチロウ・ミブ 


   【人物詳細】

 転生者。

 あらゆる世界の可能性で無数に発生しているパターンの一人。だがそのどこかで何かが歪んだ一人。

 元の世界では惨めだった。誰からも相手にされなかった。失意の底にあった。

 だからこそ転生の先で求めた。あらゆる全てを強欲なまでに求めた。

 全ての悪を倒し、全ての財を手に入れ、誰もが羨む地位に登り詰めても未だ欲は収まらなかった。

 転生した先の世界、全てを手に入れた世界を飽きたと言って滅ぼし、彼は一人の男と出会う。

 スーツに似た黒色の服装で統一し、光の灯らない瞳で灰色に映る世界を見る。

 腰の後ろには交差して二振りの剣。太腿のホルスターにはそれぞれ拳銃が二挺。どんな時でも自身を害する存在を殺せるように利き手はいつも剣の柄に乗せられている。



   【目的】

 どれだけ認められても埋まらない永遠の渇望を充たす為。



   【能力】

 ・〝主人公補正(劣)〟

 人の暮らすあらゆる世界で自らの運命を好転に導く強制力。ある種では神々に与えられた補正によるものとされているが、詳細は不明。

 このスキルを所有する者は死を確実なものとしない以上は必ず生き残る性質を宿す。たとえ心臓を潰して四肢を切断したとしても、絶命確認前に崖から落としたり戦場に放置したりといったアクションを起こした場合、百%の復帰・生還を果たす因果に繋げる。

 『主人公』という在り方を逸脱した道を選択した為、スキル自体が摩耗し性能は低下。今では戦闘中の被弾に若干の幸運が上乗せされ、致命傷を避けられる程度にしか機能しない。



 ・〝ハーレムメーカー(真)〟

 世界を越えた者に宿る全体魅了のカリスマ性。こちらは十全に活きている。

 自身の本来の出生世界以外の人間に問答無用で好意を抱かせる。この力に固執し過ぎた余りスキルとしては歪なまでに真正を誇示し、本人が望む望まざるとに関わらず彼を知る人間は直接の対面が無くとも好感を持つ。

 真に愛情を向ける者、忠誠を誓う者がいた場合にはこのスキルの影響は緩和される。干渉遮断の力を持つ者も同様。

 また効力を〝反転〟させる能力ないしアイテムがあればこのスキルの性能をそのまま返して絶大な憎悪がステータス及びパラメータに上昇補正を与える。



 ・転生補正

 世界を越えた者に宿る全能力の大幅な強化。

 肉体はもとより精神性にも作用し、年齢に見合わぬ達観さを与え沈着な思考と的確な判断を確約させる。

 


 ・無名二剣

 転生当初は夢中にはしゃいで名付けていたはずだが、それすらも忘れた大業物の名剣。

 剣身も柄まで黒一色で光の照り返しさえ許さない右の剣と、国宝が如き過度な装飾で彩られた輝く左の剣。

 黒剣にて宿るは対峙する敵の数と能力が高ければ高いほどに一撃の威力を高めていく〝閾祁討閃いっきとうせん〟、宝剣にて宿るは傷つける毎に対象の能力を問答無用で一つずつ封印していく〝封凛華斬ふうりんかざん〟という技を使う。


 ・無名二挺

 弾数無限、威力調整可能、弾道任意変更と盛りに盛ったチート銃。

 ただし性能過多により銃身の耐久を加味しておらず、連射し過ぎると脆くなっていく。最終的には引き金を引く握力だけで砕け散るまで弱るが、そうならないよう適度にクールタイムを入れて剣での接近戦と入れ替えるようにはしている。






「いいから。いいからさっさとオレに傅け。どうせお前もオレを敬うんだから」

「美味いもん寄越せ、良い女を寄越せ、オレを認めてオレを崇めろ」

「もっと、もっと、もっとだ。オレがあらゆる世界の中心だ。だから全てをオレに渡せよ。じゃなきゃ何も満たされないだろ……!!」

「もういい。オレを満たさないならお前はゴミだ。消えろよ」

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