エルムVS緑の魔道具士ハンス1
目の前にいるのはハンスだ。
彼はエルムが二番目に出会った仲間で、魔道具作りの天才である。
遺跡から発掘した特殊な道具と緑のエプロンを使い、即座に魔道具を展開する戦法をとる。
「くっ、時間を与えると不利だ。それならこちらは全力速攻の〝赤の決闘装束デュエルモード〟で――」
そのとき、エルムは気が付いた。
いつの間にか〝紫の魔導法衣マジックモード〟になっていたのだ。
しかも、どうしようともそこから変化しない。
『言い忘れていましたが、紫モードに固定させて頂きました。お兄さんには魔法だけを使って、彼らを一人ずつ倒していってもらいますよ』
「随分と無茶なことを言うな……!」
エルムは身体の確認をする。
たぶんモード固定というところを除いては、普段と同じ戦闘力を維持しているように思える。
紫モードでも災害級を軽く倒せるくらいの力はあるのだが、目の前のハンスは全盛期の幻影だとしたらかなり手強いだろう。
「お前相手に手加減はできない! 先手必勝だ! 詠唱破棄――極大火魔法〝
神槍を杖として、巨大な炎の乱流をハンスに向かって放つ。
以前、ダンジョンのモンスターを一掃したこともある極大火魔法だ。
これを食らえば人間など塵と化す。
しかし、ハンスは一瞬で行動を終えていた。
【調合、水×1000】
手元を見えない速度で複雑怪奇に動かし、一瞬にして圧縮された水を大量に精製した。
ただの水なら魔法は防げないが、どうやら魔物由来の素材も混ぜられているようでエーテルで構成された〝煉獄〟と対消滅していく。
それと同時にもう一つの作品も作り上げていた。
【調合、ゴーレム軍団】
「さすがハンスだ……」
対消滅による霧が晴れた瞬間、向こう側には百体を超える4メートル級のゴーレムが地面から生えてきていた。
圧倒される応用力と物量。
これが六百年前の名も無き救世主と呼ばれたメンバーの力だ。
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