幕間 伝説の竜騎士ウリコは田舎で普通に暮らしたい
前書き
今回は「セリフを先に書いて、他はあとから付け足す」という手法で書いてみました。
執筆速度的にはあまり変わらないですね。
――――――
伝説の竜騎士ウリコの朝は早い。
「ふわぁ~あ。おはようございます。ワイバーンちゃん」
『グルォ~ン♪』
まずは防具店の横に建てられている巨大飼育小屋に入り、最強の飛竜の様子見から始まる。
農家から分けて頂いたお野菜などを巨大餌箱に入れ、ワイバーンちゃんの毛艶――もとい、鱗艶などをチェックする。
しかし、首にある逆鱗にだけは触れてはならない。
つい先日、
竜騎士ウリコは頑丈なので無傷で済んだが、一般人は真似をしてはいけない。
「さてと――それじゃあ、日課の薬草摘みに行きますか!」
***
「ふんふふ~ん。石化薬の薬草をゲット~!」
森の中で満足げな竜騎士ウリコの手にあるのは、世間では珍しい石化病を治すための薬草だった。
石化病にかかった村人がいるとかいう重い理由も特になく、防具店の副業として薬草集めをしに来ているだけである。
ショーグンというお爺ちゃんが、たまに薬草の天ぷらにして食べているようだ。
そんな軽い理由で薬草採りをしていると、竜騎士ウリコ
「うわぁー!?」
「ん? 男の人の悲鳴が……。行ってみましょうか」
竜騎士ウリコが駆け付けると、そこには大ピンチな旅人エルムの姿があった。
「あんなところにSSSランクのダンゴムシさんが! 旅人さんを襲っているじゃありませんか!」
竜騎士ウリコは薬草を豪快に投げ捨てたあと、手のひらを天にかざして神剣を召喚した。
格好も九十年代風のビキニアーマー(バハさん談)に変化していた。
「ダンゴムシさんを斬り割け――! ロリオバちゃんから無断で借りてきた〝
『ギ……ギ……!?(訳:ただ歩いていただけなのにヒドい。あとダンゴムシじゃなくて隕鉄蟲です。某編集さんからもダンゴムシって言われましたけど隕鉄蟲です。隕鉄蟲です)』
邪悪なダンゴムシさんは倒された。
***
旅人エルムを防具店の一室に押し込んだあと、竜騎士ウリコはダンジョンにやってきていた。
「よーし、ダンジョンに防具の仕入れをしに行きますか!」
そこで全身鎧を着た人物から話しかけられた。
「少し良いか? 貴女はあのダンジョンに詳しいのか?」
竜騎士ウリコはピンときた。
男性っぽく振る舞っているが、中身は美人さんな女性だということを。
たぶん勇者のはずだと直感が告げているが、そこは事情があるのだろうと黙っておいた。
あとスタイル抜群そうなので、仲良くなって何を食べているのかを聞き出そうとも思った。
「はい、それはもう詳しいですよ。なんたって、この村に住んでますからね!」
「良かった。それなら、ダンジョンの案内を頼めないか?」
「オッケーです! この竜騎士ウリコに任せてください!」
勇者は案内を頼みたいと言っていたのだが――竜騎士ウリコは細かいことは聞き流していたので、先頭を突っ走って敵を倒しまくっていた。
「うりゃうりゃうりゃー!」
「……案内を頼みたかっただけなのだが、すべてのモンスターを……倒してしまっている。しかもボスまで……」
神剣のオーバーキルで、ダンジョンの壁ごとボスのキュクロプスも吹き飛んでいた。
その後、ダンジョンの一層は崩れて消えていた。
次からは二層目だった部分が、一層と呼ばれるのだろう。
***
竜騎士ウリコはとても爽やかな笑顔で、ダンジョンのドロップアイテムであるSランク防具を山ほど担いでいた。
「ふー、今日も人類最強の防具店としての日課をこなしてしまいました」
防具店に戻ってきたところで、空からワイバーンちゃんが舞い降りてきた。
「おや? ワイバーンちゃんが……」
何やらソワソワとして様子がおかしい。
竜騎士の能力を使って意思疎通してみると、どうやら空を飛んでいるときに村に向かってくる大軍を見つけたらしい。
「ふむふむ、なるほど。魔王軍が攻めてくるんですね。よし、夜ご飯前に片付けちゃいますか!」
伝説の竜騎士ウリコは、ビシッと決めポーズを取った。
「村の平和は私が守るわ!」
***
「――という夢を見たんですよ!」
現実の店でお菓子を摘まみながら、ウリコは機嫌良さそうにしていた。
その周りには――
「……俺、夢の中では逆に隕鉄蟲から助けられているのか」
何とも言えない微妙な表情をしているエルム。
「ふふ、わたしはダンジョンでの活躍が取られてしまったな」
ウリコの夢に出演できたことが嬉しい勇者。
「我の〝
かなり雑な扱いをされて騒いでいるジ・オーバー。
「ははは~、みんな細かいことを気にしすぎですよ~」
細かいことを全く気にしないウリコは脳天気に笑っていた。
そして、今までは無理だと思っていた竜騎士に対して、考えが変化していたことに気付く。
「いや~、なってみてもいいですね! 少し乗り気になっちゃいましたよ!」
「「「えぇ……」」」
エルム、勇者、ジ・オーバーのリアクションがハモった。
そんなことも気にせず、ウリコはビシッと夢の決めポーズを取った。
「私は竜騎士ウリコ! 村の平和は私が守るわ!」
――ちなみに仕事をサボっていたので、ジ・オーバーに決めポーズのまま引きずられていった。
――――――
後書き
というわけで、ウリコメインの幕間でしたが、いかがでしたか?
発売中のコミックス一巻の一話先(アプリのガンガンONLINEで読めます)にウリコの竜騎士姿があったので、つい書いてしまいました!
あ、というわけでコミカライズの一巻が発売となっています。
買おう! 私も普通に特典目当てで買った!(ダイレクトマーケティング)
それと新連載『幻想英雄の召喚士 ~努力が実を結んだ落ちこぼれは、非現実的すぎるゲームキャラたちを従えて最強の冒険者を目指す~』を投稿しています。
こちらは今日二章の終わりまで投稿して、これから三章なので読み始めるには丁度良いタイミングですよ!
色々と挑戦してみてる作品なので、読者さんが増えてくれると嬉しいです。
三話目までの試し読みだけでもいいので~!(炎ブレス土下座)
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