女だって遊びたい
7ふぐ神
第1話 友達と居酒屋
「ふう、終わった~」
今日しなければいけない仕事を終えて机の上を片付ける。周りには残業している同僚や上司がまだ何人かいるので声をかける。
「お先に失礼します」
「おお、お疲れ」と口々に返ってくる。
騒がしい社内から出ると外はすでに暗くなっていた。今日は夕飯を作る気にならないから食べて帰ろうかなと思っていると親友の
『もしもし、咲良、もうご飯食べた?』
「いや、今仕事終わったとこ」
『なら、食べにいこうよ』
電話の向こうから聞こえるテレビの音で美月が家にいることがわかる。
「うん、いつものとこでいい? 三十分くらいで着くと思うわ」
『うん、分かった』
電話を切って足早に駅に向かう。
店に着くと既に美月が来てレモンサワーを飲んでいる。
前の椅子に座ると「お疲れ~」と言ってメニューを渡してくるので受け取り、美月と相談して注文を決める。
店員を呼んで刺身盛り合わせとモッツァレラチーズのフライ、シーザーサラダ、だし巻き玉子、おにぎり、そして紀州南高梅サワーを頼む。二人で頼むといつもこんなメニューになる。
飲み物が来ると先ずは乾杯「お疲れ~」とお互いを労い、料理を味わう。
そして、会社の愚痴から友達のこと、アイドルやファッションまで話したところで恋愛話に移っていった。
「彼氏はできたの?」
「特定の彼氏はいないよ」
咲良は美月の問いに正直に答えた。
あっけらかんとした咲良に美月は顔をしかめる。
咲良は彼氏と別れてから考えた。今まで付き合った彼氏は咲良のことを理解してくれなかった。それなら特定の彼氏は必要ないだろう。そして男には好みの顔とセックスの相性だけを求めようと決めた。
この一年、自由気儘にデートして、セックスをした。時には酒を飲んでその場で知り合った男と一晩だけのセックスをしたこともある。
咲良は今の状態に満足していた。25歳という年齢も結婚を漠然としてとらえるのみで、時が来ればどうにかなると考えていた。
そんなわけで美月の忠告にも真剣に耳を傾けなかった。
「そのうち痛い目に遭うわよ」
「ん~、大丈夫だって」
軽く受け流し、この話はお仕舞いとばかりに「来月にでも一緒に温泉に行こうよ」と話題を変えた。
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