ひと
私に羽があるのなら
烏のような黒い翼を羽ばたかせ
雨の中を飛びましょう
あなたの羽はどんな翼?
たくさんの屍を踏み越えて
今の私があるのなら
私がその一人となる時
また別の誰かが
私を踏み越えて行くのだろうか
嘘つきが嘘つきである為に
今日も私は息をするように嘘を吐く
我が身が可愛くない人は
そうそういない
故に利己心のない人も
そうそういない
しかし何かを助けようとする人は
どれだけいるのだろう
どれだけの人が助けるために
全力を注ぐのだろう
人は皆穢れを少しも纏わず産み落とされる
成長の過程でそれは変わっていく
その環境を幸とするか
不幸とするかは人それぞれ
しかし、その環境を
己の過去ばかりを憎み恨むだけでは
何も意味をなさぬ
その先を見ずに引き摺るのは
虚しいものよ
負に漬け込むは蛇
寄り添うは鹿
そして奪うは人
もし誰かが復讐という糸に絡め取られ
マリオネットのように操られるのなら
その糸を断ち切れるのは本人のみなり
コピーもオリジナルも
ひとつの個体
怒りに塗れた私の姿
それこそ正に狂人の如し
止める声すら私の耳には届かずに
尖った爪を振りかざす
その顔に愉悦の笑みを称えながら
それでも流す涙は人の様
生きるために全てを犠牲にするのなら
一体何が残るだろう
否、何も残らぬ
悲しいだけの人の道に変わるだけ
固定概念に縛られるよりも
私はどこまでも深い発想に捕らわれたい
現実と理想の狭間
その狭間に挟まれ揺れ動くココロ
まるで振り子のよう
誰かの生き方をなぞる事は
誰にも出来ない
誰かと私の人生は
全く異なるのだから当たり前だ
どこかで誰かが
そう言って笑った
愛とは何かと問われれば
私にそれを答える術はない
コンコンと扉をノックする
返事はない
誰かそこにいるのかと問えば
軽快に扉をノックする音が響く
開けていいかと問えば
まーだだよと返される
私はまだまだ道の途中
その扉の奥へはまだ行けない
パチンパチンと割れる音
しゃぼん玉の割れる音
どんなものであれ
少し力を加えれば壊れてしまう
あ、また割れた
目立ちたがりな少年少女
恨み辛みの負の連鎖
それらをぼんやりと眺めながら
私はじっと達観しているばかり
あぁ、あぁ、私の道標
ふわりふわりと漂って
それでは何の意味もなかろうて
赤から朱へ
青から蒼へ
透明から虹色へ
コロコロ表情が変わるように
クルクル色が変わりゆく
詞もどき 夏鬼 @natuki0428
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