番外編
番外編:兎のお出迎え(ネタバレ有)
※一年生編14話までを読んでから読むことをお勧めします。
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お姉ちゃんが帰ってきた!
お姉ちゃんと仲直りできてから、毎日が楽しい。楽しくて幸せで死んでもいいくらいだね。ま、まだ死ねないけどさ。
お姉ちゃん、私のこと嫌ってたんだよね。ま、今まで散々邪魔をしてきたからしょうがないっちゃしょうがないけど。
邪魔っつってもさ、なんか知らない男にチョコ作ったり、手編みの手袋作ろうとしてたから気になっただけなんだけどなぁ。チョコ勝手に食べたり、手袋を勝手に触って解いちゃったりしたのはごめんって感じだけど。
その知らない男のこと調べてたら、大した男じゃないことが分かった。なんつーか、平凡。どこにでもいるし、ホントならお姉ちゃんの眼中にもないくらいふっつーの男。
それがアイツ……晴我だった。アイツのおかげで仲直りできたけど、お姉ちゃんを奪ったことは許せない。恩は感じてるけど、それと同じくらい恨みもある。
そういえば、最近お姉ちゃんがお弁当作ってくれるんだよね。三つも作ってたから、晴我がバカみたいにご飯食うヤツなのかと思ってたけど、どうやら私のために作ってたみたい。
写真はもちろん撮ったし、弁当箱に頬擦りしたし、食べる前に香りを楽しんで、全てのお姉ちゃんに感謝しながら食べた。ま、美味しいわけだよね。
そんなことしてたら、友達が聞いてきた。なんでそんなにお姉ちゃんラブなのって。
……なんでだったかな。お姉ちゃん、昔からなんでもできてすごかったんだよね。そんで凄い凄いって憧れて、お姉ちゃんみたいになりたいって思って、お姉ちゃんにひっつきまわって。
お姉ちゃん、元気なくなっちゃった時があったんだよね。そん時から、私が守らなきゃって気持ちになった。
そんでまたいつからか、お姉ちゃんは元気になって。私がどうこうしたとかじゃない。私以外の誰かが、お姉ちゃんを元気付けたんだって思った。
原因になったやつに感謝とか、元気出してくれて嬉しいとか、そんな感情はなかった。
私が守らなきゃって気持ちが強くて、守りたいって気持ちが強くて。
お姉ちゃんが、弱いままじゃないといけない。だから、邪魔した。
でも、今はそんなこと必要ない。だってそうじゃん。今はお姉ちゃんが私のこと見てくれてるの、分かるし。
でも、もっと構って欲しいなって思う。もっと見てほしいなって思う。……やっぱアイツ、邪魔じゃね。
「わざわざ出迎えしなくていいんだよ?」
「んー? 私がしたいからしてるんだよー」
ま、今は見逃してやるか。家の中なら、お姉ちゃんのこと、独り占めできるし。
「今日はハンバーグ作ってあげる。好きでしょ?」
「好きー。お姉ちゃんくらい好きー」
「よく分からないけど、良かった。晴我くんも好きなんだよ、ハンバーグ」
「……へー」
…………やっぱアイツ、早いうちに消してやるわ。
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