吊り下げられた悲劇
王様が殺されたことにより会場にいた村人達はパニックになっていた。
もちろんこんなことが起きるのは誰もが想定してなかったのだろう。
「う、うわぁぁぁぁぁ!」
「に、逃げないと!」
急いで会場から出ようとする村人達だが、兵士たちは急いで止めようとする。
そんな人混みの中でアズサは急いで王様の方に向かった。
『ちくしょう。ここでおじゃんかよ!』
人の心配よりも情報が貰えないことにイラだちを見せた。
それは情報がないということは
「お、王様!」
アナは王様の遺体に近づいて、矢を抜いて降ろしていたが、ピクリともしない。もちろん脳に刺さってるため、ほぼ即死に近い。
「アナさん!」
先にレノフィが着いて、遺体に近づく。首の脈を測るが深刻な顔で横に振った。
「お、お父さん?」
王子は状況がわからないまま呆然していた。
目の前で父親が殺された現実が受け入れられなかった。
「レノフィ! 警戒しろ! まだ犯人がいるかもしれないぞ!」
アズサは咄嗟に警告をかけると、レノフィは銃を取り出して周りを警戒を始める。そしてアナや衛兵は持ってた武器を取り出せるように構えていた。
とても緊迫な状態だったので、いつ狙われてもおかしくもなかった。
「アナさん……ほかの兵士達に逃走経路を防ぐように指示してください」
レノフィは王様をカバーをしつつ、犯人確保のために提案を出した。
「わかりました……。頼む。休憩してる兵に警戒態勢に入れと伝令してくれ」
「わかりました!」
もし王様のみの暗殺なら逃げられてもおかしくもなかった。
レノフィは周りの安全を確認したあと、遺体を改めて検査をはじめた。
そしてやっと遅れるようにアズサも来て。
「はぁはぁ……。即死か?」
「はい。頭に当たっているので間違いないです……」
レノフィから告げられた結果を聞いて、一度黙とうをした。
そしてアズサもポケットにしまっていた、手袋を着けたあと遺体の検査を初めた。
「……。王は死んだのですか?」
アナは構えを解いたあと、自身責めたような感じで聞いてきた。守れなかったことに後悔をしているのだろう。
「ああ。息もしてないから。その通りだ……」
それ聞いた彼女は膝を地面に着いたあと、拳を作って地面を叩いた。
ただここに居るのはまずい……。アズサは念を押すように。
「悪いが王子様を護衛して。今は危険なのは変わりないから」
「わ、わかりましたが……。何をされてるのですか?」
衛兵に質問をされたので渋々とした態度を取って。
「状況見聞ってやつ。殺された状況を確認をしているのさ」
この時はアズサにとっては厄介に感じていた。本心としては穏便に済ませたかったが、起きてしまった以上は最後まで果たすしかない。
改めて周りを見渡すが弓矢かボウガンらしきものは見えない。あの時は明るかったため、すごく目立つはずだ。
「……わかりましたが。あなたは一体?」
衛兵は普通の傭兵ではないと気づいたせいか、素性を聞いてくる。
「オレ達は探偵という仕事をしている。殺人の謎を解いたり、人を探したりするのさ。本来は護衛なんて専門外だよ」
「……探偵? なぁ、お父さんを殺した犯人を見つけられるよな?」
背後から王子が話を聞いてたのか、いきなり確認を取ってきた。
レノフィは少し気づいていた。彼の声の震え方から察して、あまり良く思えなかった。
「私達は復讐のために解くわけでありません…… 」
「うるさい! お父さんが殺されたんだぞ! 復讐以外何がある!」
怒り狂うようにアズサ達に訴えかけてきた。悲しいのはわかるが、二人は口を閉じていた。お互いに自身の経験からの葛藤をわかっていたから。言葉にすることは難しい。
「ザラン王子……」
ユミナが王子の傍に近づいて、彼を辛そう表情をして止めてくれた。
「あ……。ユミナ。置いてってしまったね。ごめんよ」
アズサはうっかり置いてったことを思い出して謝った。
「いいえ。人混みの中で抜けるのが難しかったので待ってしまいました。むしろ一緒に行けなくて申し訳ございません」
丁寧に謝られると困る。気持ちとしてはいいが失礼なことをした。本来は指示を送るべき状況だったのに酷いことをした。
「……。ユミナ。悪いけど王子様を……」
頼んでみようとするが。
「お前! 復讐をしてくれ! 報酬もやる! 名誉も! 地位もだ!」
「ザラン王子!」
衛兵たちが必死に駄々をこねる王子と共に会場から出て行った。そしてユミナもお辞儀したあと、急いで彼を追いかけた。
ここに残ったのはアズサ、レノフィ、アナ、家臣、衛兵が3名いた。
「状況を調べよう。アナ。この矢が飛んだ方向て見えてたりしたかい?」
「そうですねぇ……。私が見れた範囲だと斜め下から飛んできた気がします」
射角が斜め下から?
そんな冗談はよして欲しい。何も無い所から飛び出すなんて。物理法則が無視してるでないか。
「アズサ。何を悩んでるのですか?」
レノフィはキョトンとした感じに聞いてくる。
「いやオレの中では矢は弓かボウガンを使うはずだけど……」
アズサの世界では一般的には仕掛けがないと発射されないのがわかる。
だからこそ違和感があった。
「魔法とかはないのですか?」
「……へ?」
レノフィの言葉を聞いて一瞬固まった。
それはアニメや漫画などの話だ。そんなの嘘に決まっている。
「いやいやいや! 絶対にありえないって!」
「いえ。可能ですよ?」
冗談を取って聞いてみたが、不思議そうに聞いてくる反応からして嘘ではなかった。
う、嘘だろ〜〜!
こんなの信じられるか! 確かに異世界だからあるかもしれないが、謎ときがめんどくさくなる!
「そ、そっか……。とりあえず可能な理由は?」
「あれを見てください」
指を指した方向は玉座から15mくらい離れた
「レノフィ? ふざけてるのかな?」
「み、見えないのですか?
少し『冗談では?』と思って聞いてみたら、戸惑った感じに返された。
改めて考えると魔痕というものが見えない。いや別世界の人だからオレだけが見えていないかも。
「見えないな……」
目を飛び出すくらい凝らしたり、変に
「もしかして……」
咄嗟に虫眼鏡をアズサは取り出して、さっきの場所に覗いてみると星のようにキラキラしたものが見えていた。
これが魔痕なのか?
「なぁ、魔痕ってなんだ?」
これから使うことを考えると大きなヒントになる。だからここはレノフィに頼るしかない……
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魔痕? 一体なんだろうか?
今回の事件のまとめ
〇被害者は王様
〇脅迫文の無視により殺害
〇凶器は矢(材質はこの回では不明)。目撃証言によると斜め下から飛んだ。
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