幸せの君の前を通る

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ただ一緒にいたいだけだった。

君と過ごしたたくさんの時間を、

君からもらったたくさんのものを、

ゆっくりゆっくり、

時間をかけながら、

少しずつ分解している。

少しずつ、本当に少しずつだけど、

僕の中にあった君は、

僕の中から出ていって、

離れていった。

あの頃僕は、

君がいなくなってすぐの僕は、

ただ一緒にいたいだけだったのに、

そういって、ひとりで泣くことしかできなかった。

でも、僕は、今こうして、

少しずつ、

僕の中にあった君と、

僕の中で一緒にいてくれた君と、

僕の力で、

僕の意思で、

決別している。

君にそっくりな動物のぬいぐるみ、

君とおそろいだったキーホルダー、

君がくれたサイズのあっていないスマホケース、

君と過ごした夏休み、

君と初めて手を繋いだあの日、

君に会いたくて走った木曜日、

君と喧嘩して泣いた夜、

君が僕を追って仲直りしたその夜、

君が僕に思いを伝えてくれた日、

君が僕から去っていった日、

もっと、もっともっと、抱えきれないほどの君を、僕は持っていた。

僕は、僕の中の君と、もうお別れするんだ。

いつか、君が、

幸せの君が、

僕の前を通り過ぎて、

僕の不安が、

君の楽観が、

そうして交差して、

すべて、

何もなかったことになることを、

僕は、

君との決別を誓う今、

心から願う。

本当に大切に思っていたよ。